東芝キヤリア社会環境報告書 2018年
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澤木)富士工場は創業から約80年という歴史のある工場ですから、水をたくさん使わざるを得ない古い設備があるのも事実です。この仕事に就いていて、新しい技術の登場が待ち遠しいのは正直なところです。例えば、排水が行われた段階ですぐに何らかの処理ができれば、その後のプロセスも不要になりますよね。小澤)技術の進歩と人間の努力は、並行して進まなければならないと思います。地道な作業に技術が加われば、浄化・節水の両面で今よりも視界が開けてくるのではないでしょうか。澤木)部品を洗浄しなくて済めばよいのでしょうが、なかなかそういうわけにはいかないと思います。しかし、少しでも洗浄レス化が進めば排水量も減り、節水にもつながるはずですよね。矢口)製造時にたくさんの水を使用していたものを、設計段階で使う材料を工夫するなどして改善できないか、と考えるきっかけをもらったような気がします。12時間という水の処理時間も短くなれば省エネにもなりますね。澤木)本音は処理施設の稼働時間をもっと短くしたいですが、今の対流方式では、24時間稼働させなければならない状況です。時間がかかっても微生物に分解してもらう方法を採用しています。これも、環境に配慮した考え方ですよ。小澤)私は、この仕事に就くまでは節水のことはあまり考えませんでした。排水についても、気にせず流していたと思います。しかし、水質検査を行うようになってから、pHやCODなどについての化学的な知識も深まり、水と生物との切っても切れない関係性を目の当たりにしてくると、基本は汚いものを流さないことだと思うようになりました。矢口)私も同感です。工場ではさまざまな人が働いています。毎日の仕事では、自分の周囲だけしか気にしないものですが、一人ひとりが水に対する意識を少しずつ変えれば、循環する水に貢献できるはずですね。工場を一つのコミュニティーと考え、この考えを自治体、国、そして地球全体へと展開できればよいですね。鈴野)日本では蛇口をひねればきれいな水が出るのが当たり前です。地球上には、水で困っている国がたくさんあると思います。日本人は、水が生きていくうえで大切なものだということを、災害などをきっかけに知るくらいで、普段は忘れがちになっているのではないでしょうか。小澤)そのとおりですね。地震などの災害でライフラインが寸断された時、支援された限られた水で急場をしのいでいる様子を報道で目にすると、本当に水のありがたみが身に沁みてきます。鈴野)食料を輸入に頼っている日本ですから、私たちは、輸入する食料自体、他国の水によって育てられたものであるという自覚を持つべきでしょう。そう考えると、水も輸入しているという意識があってもよいかもしれません。汚染された水で育った食料を口にすることは、汚染物質を口に入れることになるわけです。一般的な立場から「水は生命の源」であることを、富士工場の取り組みから考えさせられた1日でした。    それぞれの立場から   これからの水との向き合い方  についてお聞かせください。日常の水にも困っている国々に比べ、水の大切さを感じにくい日本に暮らす私たちだからこそ、気付くべきことがたくさんあります。東芝キヤリア富士工場の「排水処理」の取り組みは、「水の循環」「節水」「水質検査」「製品開発に対する姿勢」など、どれを取っても地道で緻密な取り組みばかりです。それぞれ違う立場の社員が、お互い第三者的な視点で見学しつつ、また随所で専門的な説明をしながら、理解を深め合いました。「環境と水」の関連の深さを実感した座談会でした。まとめ12東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2018た大切な地球を守るeco活動(富士/くまさん) れ冷蔵庫 開け閉め素早く これもeco(関係会社/エコ見習い)

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