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プレスリリース

コスト削減に役立つ熱回収ヒートポンプ商品の新ラインアップについて
- 温排熱や未利用エネルギーの活用を加速させる、ヒートポンプの新たなソリューションを推進 -

2014年7月29日
東芝キヤリア株式会社

 当社(取締役社長:近藤弘和、所在地:神奈川県川崎市)は、お客様が温排熱の回収活用システムや未利用エネルギー活用システムをより構築しやすくするため、熱回収ヒートポンプ商品のラインアップを拡充します。高温熱用途には「熱回収CAONS(カオンズ)」注1の新モデルを、冷暖房用途には「熱回収SFMC(エスエフエムシー)」注2 を、それぞれ本年10月より順次発売予定です。

 近年では、排熱エネルギーを再生利用する動きが徐々に広まり、ごみ焼却場や工場から出る「中・高温熱」の排ガス、蒸気、中・高温水が、空調や給湯に利用される事例が増えてきています。しかし一方で、工場での冷房や生産工程の冷却の際に出る40℃以下の「低温熱」の排熱は、冷媒と冷却水を介して大気中へ放出されるケースがほとんどで、利用後に温度が下がって「低温熱」化したお湯はそのまま排水されているなど、身近にある、せっかくの熱エネルギーの多くが使われずに捨てられているのが現状です。
 そこで、当社は中部電力株式会社と共同研究を行い、回収できる熱エネルギー量が少なく、回収が困難な「低温熱」や「小・中規模」の熱源しかない現場や工程の実情にあわせてモジュールを組み、システム構築しやすくした「熱回収CAONS」新モデル(モジュール1台の加熱能力:60kW注3)を開発、発売しました。
 この「熱回収CAONS」新モデルの特徴的なところは、運転可能な熱源水の入口温度の範囲を13〜40℃に拡大しながら、加温工程(50〜85℃程度)や浴槽保温などに利用できる「中・高温熱」の供給を可能とした点で、とりわけ、冷却、加熱の両方の工程がある工場での使用に最適です。加熱負荷専用で用いられるボイラーに替わり、冷却工程の排熱を回収し、加熱工程に利用することで工場全体の大幅な省エネ化が期待できます。

 また、当社は、簡単な切り替え操作で同一の水配管接続口から、出口温度25〜55℃の「温水取出し」と、5〜25℃の「冷水取出し」が可能なヒートポンプ新商品「熱回収SFMC」(モジュール1台の加熱能力:98kW/116kW注4)の発売もあわせて開始します。四季や昼夜の寒暖差にあまり影響を受けず、外気に比べて安定的な温度を保つ地中熱、地下水、下水処理水などが得られる現場に本商品を用いることで、これら未利用の熱エネルギーを、ヒートポンプの仕組みにより効率よく回収し活用することができます。水熱源方式のため、暖房時の除霜制御が不要で安定した運転を行えることから、寒冷地も含め、宿泊施設、病院、学校など建物を問わず、一般的な空調システムなどに幅広く適用が可能です。

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「熱回収CAONS」新モデルの主な特長

1.熱回収運転によりエネルギー消費を抑えて高温熱供給を実現
 温水出口温度80℃、熱源水(冷水)入口温度37℃/出口温度30℃で加熱・冷却負荷がバランスした状態で総合COP5.7注5を達成。本商品を用い、製造装置の冷却プロセスで排出された熱を回収し洗浄工程へ高温熱を供給した事例においては、従来システムと比べて約50%のエネルギーコスト削減注6を実現しています。

2.ヒートバランス注7の確立がしやすい60kW注3単位のモジュール型設計
 回収できる熱の大きさと回収した熱の利用側の大きさとのバランスを確立しやすくするため、ユニットは60kW単位でのモジュール型設計としています。想定される負荷に応じて1〜128台注8のユニットを組合せ、システムを構築できます。

3.プロセス排熱、温泉排熱から地下水まで熱回収の対象を拡大
 使用範囲の拡大で熱源水入口温度下限13℃、上限40℃まで運転が可能となります。これにより、工場でのプロセス排熱や温浴施設での排湯の熱を回収利用しやすくなる他、温度の安定した地下水の熱を利用した寒冷地での暖房などにも用途が広がります。

熱回収CAONS 仕様表

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  • *1:条件:温水入口73℃/温水出口80℃、熱源水入口37℃/熱源水出口30℃時
  • *2:1の条件で熱源水(冷水側)を利用しているときの冷却能力と、その場合の総合COPを示します。
  • *3:工場出荷時は、温水出口温度の制御を行うように設定されており、熱源水(冷水側)の温度は成り行きとなります。
  • *4:温水出口温度によっては熱源水温度に制限があります。詳細はお問合せください。

*1の条件での運転 概念図

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「熱回収SFMC」の主な特長

1.地中熱や地下水の熱など未利用エネルギー活用による冷暖房に最適
 冷房時は冷水出口温度7℃、暖房時は温水出口温度45℃を中心に、一般的な空調・外気処理用途にフィットするよう使用運転温度範囲を最適化しました。地中熱や地下水を熱源として利用することで、暖房時の除霜制御がないなど、安定した運転を行えます。

2.同一の水配管接続口から冷/温水の切替え取出しが可能で省施工
 機器本体に四方弁が内蔵されており、簡単なボタン操作で冷媒回路を切替え、同一の水配管接続口から冷水、温水の両方を取出すことができます。従来機注9で必要とされた現地での多数の電磁弁設置と複雑な水配管施工は大幅に軽減され、施工コストの削減にもつながります。

熱回収SFMC 仕様表

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  • *1:条件:温水入口40℃/温水出口45℃、熱源水入口12℃/熱源水出口7℃時
  • *2:条件:冷水入口12℃/冷水出口7℃、冷却水入口25℃/冷却水出口30℃時

暖房運転(*1の条件) 概念図

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冷房運転(*2の条件) 概念図

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  • 注釈一覧
  • 注1:「熱回収CAONS(カオンズ)」 「CAONS(カオンズ)」は、当社が販売する高温水循環のヒートポンプ熱源機を総称したネーミングです。(当社はこれまでに、   中部電力株式会社、関西電力株式会社、東京電力株式会社との共同研究により高温水循環のヒートポンプ技術を確立し、2012年に空気熱源方式の「CAONS140」、「CAONS700」両商品を発売、翌2013年にはこの技術をベースとして水熱源方式・熱回収型の商品を発売しています。) 今回は、中部電力株式会社との共同研究による、水熱源方式・熱回収型の「熱回収CAONS」新モデルを発売します。
  • 注2:「熱回収SFMC(エスエフエムシー)」 「SFMC(エスエフエムシー)」は、当社が東京電力株式会社との共同研究により開発、2006年に発売したモジュール型ヒートポンプチラー「スーパーフレックスモジュールチラー」の略称です。同商品の技術を流用し開発した水熱源方式の本商品ネーミングには、「SFMC」は略称のまま用い、「熱回収SFMC」としています。
  • 注3:加熱能力60kW 温水入口73℃/出口80℃、熱源水(冷水)入口37℃/出口30℃における加熱能力の例です。温水温度が低く熱源水(冷水)温度が高い場合にはこれ以上の能力を出すことができ、温水温度が高く熱源水(冷水)温度が低い場合には、これ以下の能力となる場合もあります。
  • 注4:加熱能力98kW/116kW(50Hz/60Hz) 温水入口40℃/出口45℃、熱源水(冷水)入口12℃/出口7℃における加熱能力です。温水温度が低く熱源水(冷水)温度が高い場合にはこれ以上の能力を出すことができ、温水温度が高く熱源水(冷水)温度が低い場合には、これ以下の能力となる場合もあります。
  • 注5:総合COP5.7 COPとは、成績係数(せいせきけいすう、Coefficient Of Performance)ともいい、加熱/冷熱機器や空調機器などのエネルギー消費効率の目安として使われる係数のことです。COP=能力(kW) / 消費電力(kW) で定義され、この値が大きいほど省エネルギー性が高いことを示します。 総合COPとは、温水側、熱源水(冷水)側がともに加熱、冷却に利用されている場合の係数で、総合COP=〔加熱能力(kW)+冷却能力(kW)〕/消費電力(kW)で定義しています。
  • 注6:従来システムと比べて約50%のエネルギーコスト削減 蒸気ボイラを使用していた従来システムにおけるエネルギーコストとの比較を行った結果です。一つの事例であり、導入効果は現場のシステム構成や運用方法により変動します。
  • 注7:ヒートバランス 熱エネルギーを利用するシステムにおける入熱と出熱の関係のことで、エネルギーがどのように投入され、どのように使われるかを計算することによりエネルギー投入の無駄が明らかになり、省エネのための改善策を打つことができます。
  • 注8:1〜128台のユニットを組合せ 16台を超えるユニットでシステムを構成し制御を行う場合は、別売部品のグループコントローラを使用します。
  • 注9:従来機 当社製、水冷スーパーフレックスモジュールチラーを特注対応した熱回収仕様機(形名:RUW-TBP0301L 他)を指します。

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【東芝グループ環境基本方針】

東芝グループは、「“かけがえのない地球環境”を、健全な状態で次世代に引き継いでいくことは、現存する人間の基本的責務」との認識に立って、東芝グループ環境ビジョンのもと、豊かな価値の創造と地球との共生を図ります。低炭素社会、循環型社会、自然共生社会をめざした環境活動により、持続可能な社会の実現に貢献します。

【本件に対するお問い合わせ先】

〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34 東芝キヤリア株式会社 商品企画本部 商品企画部 熱源企画担当 TEL:044-331-7414

【発表内容に関する報道機関からのお問合せ先】

東芝キヤリア株式会社 広報室 TEL:044-331-7401

プレスリリース記載の情報(商品価格/仕様、サービスの内容、お問い合わせ先等)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。

以上

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