東芝キヤリア社会・環境報告書 2013年
11/32

カルガモの親子①シオカラトンボ ②アカトンボ ③メダカ ④ヒメシャガ ⑤コウホネ ⑥アメンボ❶❷❸❹❺❻旭化成伊藤工業田子浦南局田子浦小田子鮫島東芝キヤリア駿河湾田子の浦田子の浦漁協●●●●●●●●国道1号線東海道本線岳南鉄道線新富士駅富士事業所ビオトープ最終放流口あさひ・いのちの森●●日本製紙イオンタウン富士南田子江川鮫島ビオトープ東海道新幹線佐藤)世の中の声として、生物多様性がクローズアップされるようになったのは、人間にとって必要なものがなくならないようにするには…という観点からだと思います。生き物の食物連鎖を考えた場合、一つが欠けるとほかが全部だめになってしまう。生物多様性は、どの生き物も絶滅したらだめという考え方なのでしょう。どこかで欠損ができたら、人間にとって不利益になるのです。山崎)生き物の食物連鎖は、家庭菜園などでも理解が深まると思います。震災の後、ゴーヤなどを栽培する緑のカーテンが話題になり、エコの観点からも人気が出ました。実際に始めてみると、野菜は実を付けるために、虫の助けが必要なことが分かります。今の子どもたちは、草花や野菜が虫などの生き物の力を借りて実を付けることを知らずに、ただスーパーに陳列されているパックに入った食品を食べているだけかもしれません。生物多様性の中で、生物同士が深い関係性をもっていることをしっかり理解してもらいたいですね。遠藤)野菜や果物は、人間がうまく交配しておいしいものが次々登場していますよね。動物の場合は、例えば外来種の魚やカメが池に放たれると、生態系を崩すということから悪いニュースとして取り上げられます。これも生物多様性で考えるべきことだと思いますが、“新しい発見”と取るか、“生態系の乱れ”と取るか、さまざまな考え方があると思います。佐野)ある情報では、7分に1種の割合で絶滅危惧種が増えていると聞きました。富士事業所内にあるビオトープで、たくさん増えているメダカも絶滅危惧種のリストに入っていました。環境を整えれば、生き物はちゃんと子孫を増やすのです。ですから、私が管理している鮫島地区のビオトープも、周りにある田んぼや茂み、そして「あさひ・いのちの森」を含めた豊かな環境で、さまざまな生物がすみつき、植物が育っていけば素晴らしいと思っています。佐藤)佐野さんのビオトープに、うちの蛍が居ついたら、きっとニュースになるでしょうね。たとえ人工的につくった環境でも、蛍にしたらすめる環境に違いはないはずですから…。それぞれの環境が結び付いて、生き物たちにとって過ごしやすいエリアになっていけば、より良いと思います。生物多様性の観点では、“分断”が良くないとされています。真ん中に一本の道路ができたことで、それぞれの環境の生物が行き来できなくなることが問題なのです。私たち人間が絶滅危惧種を少なくする活動に、積極的に取り組んでいくべきでしょう。山崎)私たちの仕事では、たくさんのエネルギーを使っています。蒸気用のボイラーも炊きますので、排煙による大気への影響や、揮発性の有機溶剤も同様に大気に影響を及ぼします。当然、規制値の範囲で管理していますが、それが生物にどういう影響を与えているかまでは把握できません。環境担当のグループとしては、エネルギーを使う量を減らすことが重要で、その結果、生き物の生活環境に良い影響を与えるはずだと考えています。佐野)山崎さんのように、企業の人が地域の自然のことをしっかり考えてくれると自然も喜ぶはずですよ。事実、排水が流れ込んでいる川にも生き物が戻ってきましたし、富士事業所内の水処理施設にも魚がいると聞きました。私は、鮫島地区のビオトープで大小の石を積むなど、自分なりに工夫して生物の生息を待っています。このビオトープが毎年どんな表情になっていくか楽しみです。遠藤)皆さまとお話しさせていただき、生物多様性は、人間の考える部分が非常に大きいということが分かりました。私は、今までよりも確実に生物多様性を意識して暮らすようになると思います。特に子どもからも教わって意識を強くしていきたいですね。それが、子どもの将来につながることだと思います。 世界で「生物多様性」という言葉が登場したのは、今から30年近く前のことです。2006年、日本の環境省が「生物多様性」の意味の理解を調査した際、「知っている」の回答は約10%でした。その後、企業や地域が生態系を取り戻すためのさまざまな取り組みに力を注ぎ、確実にその理解度は深まっています。未来へ向け、人間を含めた生物がすみやすくなる環境をもっと増やすために、地域の連携は不可欠でしょう。また、これからの時代を担う人たちへ、この精神をしっかり継承することが必要です。皆さまが思う生物多様性についてお話しください。今日は、たくさんのお話をありがとうございました。富士事業所ビオトープの生き物たち3つのビオトープ10東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2013か限りある 資源を守る エコ活動(サービス部門/ぐりさん) よ余分な電気は消しましょう(製造部門/グーフィーちゃん)

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る