東芝キヤリア社会・環境報告書 2013年
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30東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2013すすばやく取ってすばやく閉めろ! 時間と戦え 冷蔵庫(技術部門/勝又 康宏)社会・環境報告書に対する第三者所見Observation by Third Party on Our CSR Report 第三方对社会· 环境报告书的意见(株)インターリスク総研マネージャー・主任研究員原口 真●プロフィール東京大学大学院農学系修士課程修了企業と生物多様性イニシアティブ(JBIB)顧問現在、企業や自治体の生物多様性戦略策定に数多く関与この2013年度版社会・環境報告書によって、昨年の社長メッセージである「地球内企業として自然と調和した企業活動を推進します」が、より分かりやすく具体的に伝えられています。このメッセージは、2010年の生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で採択された愛知目標に沿ったものといえます。また、この報告書は、社内外に対する生物多様性のCEPA(広報・教育・普及啓発)※のツールとして活用できるものです。生物多様性は、余力のある企業が取り組む社会貢献のようなものだという理解が、いまだ主流だと感じます。こうした中で、東芝キヤリアの生物多様性に取り組む姿勢は、グローバルな社会の課題に誠実に向き合い、積極的に責任を果たすというインテグリティの追求の表れといえます。京都議定書に基づく自主行動計画という目標が示された気候変動と異なり、生物多様性と企業の関係はまさに多様であるため、さまざまなステークホルダーの意見に耳を傾けながら、自ら、方針と責任範囲を定め、目標を立てる必要があります。生物多様性に関する多くの問題は、われわれ人間が生活や経済活動のために土地をどのように利用し、そこから生み出される資源をどのように使うかということに帰結します。したがって、東芝キヤリアのように、事業所の土地利用について目標を立てて活動を始めることは、適切な取り組みといえます。また、生物多様性を回復するためには、さまざまな主体が協働することが効果的であると考えられています。今回、大学生と小学生が一緒に行った環境マップづくりや、生物多様性をテーマにした座談会を通じて、地域社会と連携を始めたことは、とても良いアプローチです。今後、地元行政などとも連携した街づくりに発展することを期待いたします。さらに、東芝キヤリアの環境調和型製品(ECP)による環境影響低減は、生物多様性保全にも貢献しています。今後、バリューチェーン全体を生物多様性との関係で見直すことによって環境影響低減ファクターをさらに向上させ、また、バイオミミクリ(生物模倣)の視点で画期的なソリューションを開発することを期待いたします。※CEPAは愛知目標の第1生物多様性への取り組みが、各方面で今後ますます活発化することを期待します原口先生、生物多様性セミナーでは貴重なお話をいただき、また、このたびの第三者所見、ありがとうございます。今回、富士事業所の新しいビオトープを紹介しながら、「生物多様性」をテーマに、本報告書をまとめました。東芝キヤリアグループは、お客さまのニーズに合わせた商品を、環境影響の少ない環境調和型製品として創出し、社会に貢献することを考えながら事業活動を進めています。また、その製品を製造する際の環境負荷を最小限に抑えることは、地球内で活動している企業として必須です。生物多様性保全活動は、最小限とはいえ地球に負担をかける企業活動に対して、人を含む生物が快適に過ごす環境を保護しながら、少しでも地球環境への負荷を低減するものと考えています。しかし、生物多様性保全の具体的な活動については絶対的なものはなく、また、一企業だけで実現できることではない難しさも理解しています。「今、自分たちが取り組むべき活動は何か」を考えた時、希少な動植物の保全や事業所を中心とした生態系ネットワークの構築、近隣の企業との連携、次世代への生物多様性保全の継承などを実践できると思いました。一歩ずつですが、これらの活動を進めていくことが重要だと考えています。バイオミミクリ(生物模倣)は難しい課題ですが、製品と融合できれば、人と人以外の生物の自然な連携を感じることができると考えます。生物多様性活動に対する専門家のご意見は、方向性を間違えないためにとても重要だと考えています。今後ともご教授よろしくお願いいたします。企画・編集長 佐々木 美弥第三者による所見を受けて

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