東芝キヤリア社会環境報告書 2015年
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 松尾先生、内容全体にわたっての第三者所見をありがとうございます。中期テーマを「Sustainable Society」として、今年度は「地球温暖化」を取り上げました。「地球温暖化」の指標であるCO2排出量は、エネルギーに起因するものと、温暖化ガスに起因するものがあります。弊社は、ヒートポンプ技術を応用した空調機器や熱源機を最小の環境負荷で提供しております。機器を開発するにあたり、「使用時の省エネルギー」と「冷媒の選定」については、特にCO2の排出が大きくかかわり、地球温暖化抑制につながる重要な事項です。今回はこれらに焦点をあて、報告書を通じて環境活動を紹介させていただきました。また、「Sustainable Society」の実現のためには、楽しく学習しながら生物多様性保全などの活動を通じて、環境活動を次世代に伝えていくことも重要だと考えており、今後も工夫を取り入れながら活動を続けたいと考えています。松尾先生の研究は地球温暖化抑制に貢献する内容で、これからも産官学民のうち、産学連携として、弊社の製品開発においてもご意見ご指導いただけると幸いです。松尾 廣伸 (まつお ひろのぶ)静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻電気電子工学コース 助教●プロフィール豊橋技術科学大学大学院 工学研究科修士課程 電気・電子工学専攻修了豊橋技術科学大学大学院 工学研究科博士後期課程 総合エネルギー工学専攻修了 博士(工学)現在、住宅における再生可能エネルギーの高効率利用、施設園芸における省エネルギー・低コスト化、住宅・建築物(キャンパス)における省エネルギー化と温熱環境などに関する研究に従事東芝キヤリア 環境推進室 室長 社会・環境報告書2015 企画・編集長 佐々木 美弥 この報告書では、省エネ、温室効果ガスや有害物質の排出抑制、生物多様性保全など、多様な分野を一冊の中でわかりやすく編集し、幅広い層に読んでいただきたい意図が反映されています。数値面では、約42%のVOC削減の報告に驚かされ、東芝グループ環境“羅針盤”「T-COMPASS」の評価でも、環境影響が大幅に削減されていることが視覚的にわかります。地球温暖化が引き起こす気候変動や、フロン類の排出抑制などについて、たくさんの人たちが認識することを期待しつつ、以下の主な記載内容を中心に第三者所見を述べさせていただきます。特集①②について 日本でも各地で大雨による洪水被害が発生しています。このような事態を単なる天災だと思っている方が多いのではないでしょうか。特集①では、地球温暖化と気候変動が深い関係にあり、世界的連鎖におよんでいることがわかりやすく説明されています。一つひとつの影響は小さくても、積み重なることで大きな影響をおよぼす地球温暖化は、人間に例えると生活習慣病のようなものです。自分にも環境にも節度ある生活(LOHAS:Lifestyles of Health and Sustainability)を目指しましょう。 空調機器は、電力消費面や温室効果ガスの排出面で悪者扱いされがちです。しかし、ヒートポンプ方式は、消費電力の何倍もの熱量を移動させることができる非常に優れた技術であることから、今後、さらに温暖化が進むことを考えると悪者扱いするのではなく、「上手に使う」「より良い製品を使う」ことを積極的に選択しなければなりません。わずかな性能差でも、長期間の使用でエネルギーやコストの大きなメリットを生み出します。特集②の座談会では、単に省エネトップランナー方式ではなく、さらに進んだ製品開発を目指す東芝キヤリアの姿がわかる内容になっています。世界的に見ても空調機器の需要は高まるでしょうから、消費者は、LCCO2(Life Cycle CO2)も判断して製品を購入する意識を高めてほしいと思います。販売網を通じて消費者の意識改革を進めることができればすばらしいと思います。 また、特集①②を通じて、私も含め、多くの方が認識していなかったフロン排出抑制法施行による、空調機器の簡易・定期点検の義務化についての理解も深まり、充実した内容構成だと思いました。製品紹介について 多くの製品で省エネ性が進んでいることがわかりやすく示されています。省エネ性に優れた製品が、幅広い分野や用途でより多くの人が使用できるように、今後も開発だけではなく、使用段階においても斬新なアイデアを積極的に取り入れ、新しいコラボレーション体制を構築していただければと思います。例えば、「Air-to-Water」の需要は、海外のみならず国内にも多くあると思います。また、このような「エクセレントECP」の供給比率を、国内外ともに今後もますます高めていくことを期待します。環境活動報告について 特集③として、地域の小学生が工場見学や、ビオトープなどの自然観察を行い、エコバッグを作る環境イベントが取り上げられています。夏休みを利用して行うこの企画はレギュラー化しているようですが、出張授業なども取り入れ、各地の活動へと展開すれば充実度も高まると思います。次世代を担う子どもたちが自然に触れる機会が減少している今、身近な自然に接して「気付き」を与えることはとても大切です。継続を前提に、都市部も含め、できるだけ多くの地域でこの企画を育む工夫を考えてはいかがでしょうか。 最後に、中期テーマに設定した「Sustainable Society」に基軸をおいた来年度以降の報告書を楽しみにしております。多くの人に読んでいただきたい報告書として、今後もさらなる内容の充実に期待します。第三者による所見を受けて29東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2015社会・環境報告書に対する第三者所見Observation by Third Party on Our CSR Report 第三方对社会· 环保报告书的意见

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