東芝キヤリア社会・環境報告書 2016年
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インターネット調達取引先さまデータがあることをメールで連絡取引情報物質情報物質情報リクエスト暗号化暗号化使用部門▼環境担当者▼環境担当責任者(承認)▼安全担当責任者(承認)▼産業医(承認)▼新規商品購入●新規物質 承認フロー東芝キヤリア物質情報回答理を実践していることになりますね。市丸)TOCACHEF導入の目的の一つは化管法(PRTR法)※3対応です。新しい物質を製造プロセスで採用しようとした場合、禁止物質が入っていないか、公害につながることはないか、安全に使えるかなどを判断することができます。もし、使用できない物質があることが判明した時は、ほかの拠点にも情報共有します。また、法改正で新たな禁止物質が定められた場合にも迅速に対応することができます。池田)環境の保全だけでなく人の安全も考えた取り組みですね。このようなIT化では、承認フローがあるのですか。市丸)もちろんです。承認フローのなかには、環境担当者だけでなく、安全担当者や産業医の方にも入っていただいています。金)事業プロセスでの化学物質管理では、TOCACHEFの導入は心強いですね。一方、私がかかわっている製品の化学物質管理では、G-sysⅡの調達面や工程面での管理機能が、分析作業に加え、RoHS指令やREACH規則の遵守対応を大きくサポートしてくれます。池田)皆さんの話を伺っていると、化学物質と向き合うということは、最終セットメーカーだけの問題ではなく、ビジネスパートナーである調達取引先さまも一緒に取り組まないといけないことがよくわかります。井上)化学物質管理は、電気・電子や自動車製造業の分野で特に厳しくなっていると思います。これが、住宅・建設業界や上下水道の業界では大きな違いがあるようです。東芝グループでは、PVC※4削減の方針が打ち出されていますが、そのほかの業界では特に制限なく使われています。例えば、配管にPVCが使われていた例がありました。金)確かに、水用配管の塗装物質のなかに鉛が含まれていることがありました。そのメーカーと話をしたところ、日本の消防署で使っているのになぜ東芝グループはだめなのか、といわれました。空調機器や換気扇などは、住宅メーカーや配管メーカーと同じ部品を扱っている調達取引先さまがたくさんあります。RoHS指令の物質がこれからどんどん増えると、管理の範囲をどこまで広げるのか不安になります。まだまだ国や業界で差があるので、ワールドワイドな基準ができれば問題が解消されると思います。池田)欧州はREACH規則で規制されている分、進んでいると思いますが、グローバルで見れば地域・業界ごとに差があると思います。東芝グループとしては、基本的な考え方としてはSAICMのようにリスクを抑えていくためにできる限りのことをする、という方向で進んでいます。市丸)製品系の化学物質管理は業界で差があるようですが、事業系では、メーカーの努力もあり、全体的に良い方向に向かっている気がします。TOCACHEFでは、化管法で規制されていない物質までも含め、約700種の化学物質を管理していますが、富士工場に最初に採用したTOCACHEFを、現在では国内の全製造開発拠点で採用し、今後はアジアの拠点にも展開していく方針です。今後、化学物質管理はどのように変化していくと思いますか。皆さんの考えをお聞かせください。RoHS指令の施行から10年の節目にあたる時期に行ったこの座談会では、将来の化学物質管理を見据えた議論が展開しました。東芝キヤリアとして、また、東芝グループとして、化学物質管理のビジョンを再確認し、次の10年に向けて着実に足跡を残していくことができれば、「持続可能な社会」の形成に貢献できるはずです。その一歩を踏み出すきっかけになった座談会でした。事業系化学物質管理システム「TOCACHEF」TOCACHEFは、製品の製造工程で使用する化学物質を管理するシステムで、2014年度に運用を開始しています。原則として、各拠点内で承認ワークフローを実行するようになっており、新たに使用したい製品のMSDS※5情報を元に、その含有物質が東芝グループの管理対象物質でないか、安全上問題ないかなどを、各分野の担当責任者が判断し、その承認過程を記録するシステムです。※5 Material Safety Data Sheet : 安全データシート※3 化学物質排出把握管理促進法  ※4 ポリ塩化ビニル(Polyvinyl Chloride)G-sysⅡでは、調達取引先さまをクラス分けし、さらに素材ごとのリスク情報を組み合わせて、リスクの高低を決定します。その結果を踏まえて、調達取引先さまに調査メールを配信して回答を集めたうえで調査分析を行います。最終的に設計部門で採用可否を判断します。2015年3月に調達取引先さまを対象に説明会を開催し、試行期間を経て運用していく予定です。まとめ製品系化学物質管理システム「G-sys Ⅱ」座談会メンバーの富士工場内見学の様子9東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2016 るルールやマナーを守り資源ゴミ(関係会社/佐藤 幸子) を夫と妻でつくるeco家庭で社会に貢献(スタッフ/かえる)

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