東芝キヤリア社会・環境報告書 2016年
5/32

「モノに含まれる化学物質」や「モノをつくる過程の化学物質」など、人間はさまざまな化学物質とかかわっていることを紹介しました。次の「学習の巻」では、化学物質のリスク削減のための管理方法について紹介しています。高次消費者消費者生産者分解者ヒト・肉食動物など草食動物・昆虫など植物細菌・バクテリア壊れかけている生態系ピラミッドかかわるびましょう。モノをつくる過程の化学物質の巻 できあがった製品自体はもちろん、それをつくる工程にも化学物質がかかわっていることを理解しましょう。例えば、空調機器を製造する場合では、部品の洗浄、塗装、冷媒の封入など、化学物質がかかわる場面は少なくありません。過去に私たち人間は、管理体制の不備や使用時の不注意により、環境破壊や健康被害、さらに生命維持の危険にまで及んだ事故を数多く経験してきました。その過ちを繰り返さないためにも、化学物質を確実に管理することが、製品をつくる事業者に求められています。 人間は、飲み水に川や湖の水、地下水を利用しています。化学物質リスクが知られていなかった時代には、製造工程で使用された化学物質が川などに流出・汚染し、そこに生息する魚を食べた人間が病気を発症する事件がありました。また、化学物質が地面から地下に浸透したり、農業用水に混入したりして、畑や水田を汚染する土壌被害もありました。このような公害問題は、環境破壊をともなうだけではなく、長年の健康被害に加え、ほとんどの場合が長期にわたる訴訟になり、住民を苦しめる結果になっています。1878年、鉱毒が渡良瀬川に流出した足尾銅山鉱毒事件が、日本初の公害事件といわれています。以降、富山県神通川に鉱山のカドミウムが流れたイタイイタイ病(1922年)や、化学会社が熊本県水俣湾に流した廃液で水が水銀汚染した水俣病(1956年)など、深刻な水質・土壌にかかわる公害が発生しました。化学物質による水や土壌の汚染 化学物質が直接人間の健康に影響を及ぼす場合だけではありません。空調機器などに使用されるフロン類は、「地球温暖化」や「オゾン層の破壊」といった現象の原因の一つと考えられています。これらの現象が、生態系ピラミッドに影響を及ぼし、食物連鎖が阻害され、人間が食生活や製薬・創薬などにおいて、間接的に影響を受けることがあります。今、適切な回収や排出抑制で、大気中への放出を少なくする動きが活発化しています。生態系崩壊による生活への影響例えば例えば例えば 化学物質をきちんと保管していたつもりでも、管理者の知識不足などで大きな事故が起きる場合もあります。2015年に中国天津市の危険物専用倉庫が大爆発し、保管されていた約700トンのシアン化ナトリウム(NaCN)の一部が流出しました。この事故では、水などと反応すると、人体に有害で引火しやすいガスを発生させるシアン化ナトリウムの危険情報を十分に理解していない消防隊員が消火にあたったことも指摘されています。また、爆発現場から広範囲にわたる地域で深刻な土壌汚染の懸念もあると考えられ、復旧まで長い時間を要するといわれています。保管場所での事故による環境や人への被害答えを見つけるのは、私たち人間自身です。 みんなで考えて いきましょう。4は廃棄物 分別すれば 優良資源(関係会社/すどう) に入浴中に電球切れて大慌て、今度はLEDに替えたからもう安心。(富士/トマト)

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る