東芝キヤリア社会環境報告書 2017年
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計と製造が連携しないといけません。また、コンパクト化で他社製品よりも優位性が増し、営業部門は歓迎していますが、保守サービス部門から要求が出ていることも真摯に受け止め、限られたスペースの中でいかに作業効率を向上させるかを、設計段階でも試行錯誤しています。山本)製造現場では、端材削減以外にも工夫を取り入れています。一つ目は梱包材の削減です。二つ目はパレットをリユース化し、再利用を希望するところに有価で譲るようにしました。また、発送時の形態ではトラックへの積載方法を工夫し、効率的な輸送ができるよう指示をしています。これは輸送費の削減にもつながります。安養寺)当社は、昨年実績で工事込みの設置案件が約4,300件あり、それらは概ね1~2日の作業になります。その際に元請け案件で排出された産廃物について、現場所轄の行政機関に報告の義務があるわけですが、今までの紙マニフェスト(産業廃棄物管理票)から電子マニフェストの導入を図っています。太田)そもそもマニフェスト制度とは、排出事業者が産廃物の処理を委託する際、その種類、数量、運搬業者名、処理業者名などを記入し、業者から業者へ、産廃物とともにマニフェストを渡しながら処理の流れを確認するしくみです。それぞれの段階において、処理の後に排出事業者が各業者から処理終了を記載したマニフェストを受け取ることで、委託内容どおりに産廃物が処理されたことを確認でき、不法投棄を未然に防ぐことが狙いです。安養寺)紙マニフェストは7枚綴りの用紙に記入し、作業が進むと紙が順に戻ってきます。仮に戻らない場合は、産廃物処理委託業者に連絡して確認することになっています。この流れを、インターネットを介して電子化することで、管理業務、集計や比較分析、紛失や記入漏れがない、ペーパーレス化の実現、データの改ざん防止など、多くのメリットが出てきます。しかし、パソコン入力に不慣れな方が多く、現場ではスムーズな移行が図れていません。太田)東芝キヤリアさんの場合は工事が主なので、現場でのマニフェストの交付が難しくなる事情がありますね。一気に電子化を進めると現場の混乱は避けられないでしょうから、皆が電子化のメリットを享受できるように地道に浸透させるのが良いかもしれません。6月の廃掃法改正でも電子マニフェストの強化推進が盛り込まれていますので、東芝グループ全体としても推し進めていくことになると思います。丹野)我々設計部門には、設置現場の事情まではなかなか伝わってきませんが、安養寺さんのお話を伺っていると、産廃物の処理委託に関してさまざまな苦労が頭に浮かんできます。具体的に取り入れている工夫はあるのですか。安養寺)はい。効率的に廃棄物を収集するため、例えば、協力店の倉庫の一部を借りてコンテナを設置し、そこに再利用品を集めて分別したり、収集運搬業の許可を持っている配管業者さんに依頼し、中間施設に直接運搬してもらったりしています。山本)会社として、まとめて一ヵ所に出せればよいということも聞いたことがあります。東芝グループ内の会社で成功例もあるようですね。工夫してより良い方法を実践すればよいと思いますが、何よりも遵法意識が大切だと思います。太田)工事現場での内部規約の遵法は必須です。私たちは、契約書、許可書、マニフェストを三種の神器と定義して、何度も教育を繰り返します。現場では責任が生まれる以上、確実に自分のものにしてもらいたいと思います。私はこの教育活動を24年間続け、延べ5,000人に徹底して覚えてもらいました。さまざまな条件を加味した内容の勉強会ですから、きっと役立っているはずです。丹野)自分が設計している大形チラー製品は1m×3.3mほどあり、重量も重いですから軽量化も大きなテーマの一つです。また、工場での組立作業性を考え、あえて分割した設計にした方が、解体時における人手による分解作業も楽なのではないかと思いました。製品を完成させるまでの「つくりやすさ」が、使用後の「分解のしやすさ」にも連動し、総合的な視点で製品のライフサイクルを考える必要があると実感しました。太田)もちろん、簡単に解体できると現場の作業効率は上がるし、より産業廃棄物(産廃物)の不法投棄などを未然に防ぐマニフェスト、その電子化推進にあたりご意見をお聞かせください。リサイクル工場を見学して感じたこと、今後の業務に生かしていきたいことなどをお聞かせください。電子マニフェストの画面分別され整然と並べられた部材リサイクル工場内にて(後ろは冷蔵庫の解体ライン)特集座談会座談会11東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2017かかぞく寄り添いライトダウン(関係会社/老人ライダー) よよく見よう リサイクルマークで正しいゴミ分別(スタッフ/里見 美穪子)

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