東芝キヤリア社会環境報告書 2017年
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細かい分別が容易にできれば資源の有効活用にもつながります。見学してお分かりいただけたと思いますが、解体マシンを使った分解に比べて手作業はたいへんです。例えば、空調機器ではフロンなどの冷媒も適正な処理をしなければなりませんから、分解のしやすさは重要です。山本)津山工場は産廃物の量はそれほどではありません。鉄が多く、他はアルミと銅です。それらをいかに減らすかは、製造部門と設計部門との連携もあり、以前に比べると削減されていると思います。また、可能な限り分別していかに有価になるかを検討しています。丹野)資源を有効に使うという意味では、梱包形態を簡易化して出荷することも重要ですね。廃棄物を減らすために、より薄手のビニールで製品を包んで輸送試験を行うなど、津山工場での屋外試験で品質を確認しました。また、先ほど山本さんが言ったトラックへの積載についても設計側の仕事でもあり、トラックの荷台スペースを調べた上で製品図面を作成しています。安養寺)設置現場に届く製品は、昔は木枠梱包が主流でしたが、梱包を解いた後の木枠の処理に苦労しました。今は、プラスチックだけの梱包になり、出されるゴミが廃プラスチック類だけなので現場では助かっています。太田)見学時にもご説明しましたが、解体時に出た資材はなるべく純度の高い状態で引き取ってもらえば会社の利益にもつながります。また、取引業者さんにも専門分野があるので、事前に取り決めたフローでできるだけ効率良くリサイクル・販売していただくなど、正しい循環型社会の構築に貢献するのも私たちの使命だと考えています。安養寺)この座談会の冒頭に心痛む不法投棄問題の話がありましたが、産廃物処理委託業者を適切に選ぶことを第一に考えなければなりません。丹野)テレビや洗濯機などの解体・分別ラインも見学しましたが、私たちがつくっている製品は、特に冷媒回収がたいへんだと感じました。今日の見学を通じて、リユースの設計も念頭に、今後改善の余地がある部分も見えてきた気がします。リサイクルに関しては、分解しやすく作業の軽減につながるもの、分別しやすいものを考えて設計を心がけます。山本)今回の見学で驚いたのは、津山工場で働いている人よりも、こちらの工場でリサイクルのために作業する方々が多いことです。手作業も含め、膨大な工数の実態を目の当たりにし、製造部門の者として考えさせられました。モノづくりに携わる人は、製品のライフサイクルの最終段階をしっかり認識すべきだと思います。単なる破砕・分別だけではなく、技術や経験が生かされていることを実感しました。安養寺)私も冷媒を回収する作業のたいへんさを感じ、工事現場でできる限り冷媒を抜いて処理業者に回すべきだ、と感じました。時間はかかりますが、技術的には可能なので実行していきたいと思います。太田)昔から「限りある資源」と言われてきましたが、国内では資源の循環が満足にできていない時代に法律ができ、その中で動き始めたのが資源の有効活用です。未来の地球環境ははっきりと見えませんが、見ようとする姿勢を示して環境問題と対峙していけば、きっと何かを残していけると思っています。東芝キヤリアがつくる製品が、世の中に出てからリサイクル工場に引き取られるまで、15年以上の歳月を要します。企画・設計、製造、設置・保守に取り組む場合、この15年以上という長いライフサイクルを考えて、それぞれの立場で仕事と向き合う必要があります。法令遵守を確実にし、設置現場の声やリサイクル工場の声を踏まえて、まずは廃棄物を削減(リデュース)するための設計と製造を心がけ、次のステップでは再利用(リユース)、再生利用(リサイクル)のしやすさを追求していくことが、持続可能な社会の構築に大いに寄与できると考えます。資源の有効活用は欠かせないテーマであることを実感する座談会でした。まとめ銅線などは取り出し、まとめてリサイクル業者へ回収されたフロン(R401A)解体した資材から不純物を取り除いた状態にしてからリサイクル業者に引き渡し多くの人の手作業で解体されるさまざまな部材12東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2017たためておき まとめて捨てよう 資源ごみ 明日の地球を つくるモト(東北/おおたに) れ冷暖房 効率よく使ってお得にエコ(スタッフ/津田 由雄)

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