東芝キヤリア社会環境報告書 2017年
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社会・環境報告書に対する第三者所見Observation by Third Party on Our CSR Report 第三方对社会·环保报告书的意见松尾先生、第三者所見をいただきありがとうございます。今回は、「SDGs」の項目について、私たちの活動と結び付けてみました。今後も「パリ協定」や「愛知目標」とともに、できることから進めていく考えです。また、今年度のテーマ「資源有効活用」は、資源の少ない日本にとって、企業活動と一般生活活動の両方で真剣に考えるべきテーマです。歴史的経緯を含め、この報告書を手にした方々に理解していただくために、「すごろく」という形で順を追いながら解説し、さらに関係者の座談会を開催しました。現在、持続可能な社会の実現にあたっては、「資源有効活用」の課題や、「地球温暖化抑制」など、環境に関するさまざまな問題がありますが、製品を提供する私たちは、それを生み出すところから終末まで責任を持たなければなりません。それらの課題や、先生からのご指摘もある「日々の企業活動の中での環境リスク」を撲滅し、全社での環境意識を高めるために「ecoスタイルリーダー登録制度」を活用し、環境活動の裾野を広げるとともにレベルアップを図ろうと考えています。また、ヒートポンプを活用した環境調和型製品をこれからも創生し、グローバルに提供していくことで環境負荷低減に少しでも寄与できるよう努力していきたいと思います。松尾 廣伸 (まつお ひろのぶ)静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻電気電子工学コース 助教●プロフィール豊橋技術科学大学大学院 工学研究科修士課程 電気・電子工学専攻修了豊橋技術科学大学大学院 工学研究科博士後期課程 総合エネルギー工学専攻修了 博士(工学)現在、住宅における再生可能エネルギーの高効率利用、施設園芸における省エネルギー・低コスト化、住宅・建築物(キャンパス)における省エネルギー化と温熱環境などに関する研究に従事東芝キヤリア 環境推進室 室長 社会・環境報告書2017 企画・編集長 佐々木 美弥 今年度の社会・環境報告書は、今注目される「SDGs」、さらに「パリ協定」に寄与する環境調和型製品を、環境負荷が少ない状態で製造していることが分かりやすく示されています。某大国が離脱を宣言している現状において、「パリ協定」に沿って努力することが、長い目で見た場合に間違いなく人々を幸せにする方向であると思います。 報告書の全体構成では、2015年度版から「地球温暖化抑制」「化学物質管理」と中核テーマを設定し、3年目の今年は「資源有効活用」を取り上げました。このテーマは、環境負荷低減だけではなく、生産性の向上にも結び付くものです。大形の製品や設備は長期間使用することになるので、環境性能とトータルコストをしっかり考えて導入すべきだと思います。 また、世界初のインバーターエアコンを世に送り出した東芝が、その後米国キヤリア社との合弁によって東芝キヤリアとして誕生し、今日に至るまで、数々の環境活動を実践してきたあゆみが誌面に加わりました。環境調和型製品の提供を通じて、これからも社会に貢献する東芝キヤリアの意欲が伝わってきました。 以下、主な記事について項目別に所見を述べさせていただきます。●特集①② トピックス・座談会について 「産廃・リサイクル・ゼロエミッション・トータル設計」を歴史のステージに見立てた“すごろく”が非常に良いと思います。私たち消費者は上手に3Rを活用し、廃棄物を適正に処理しなければならないことや、企業活動のさまざまな場面で取り組むべき重要な事項が存在することが、このすごろくを通じて理解できます。一方、リサイクルの陰に隠れた違法行為が消えないことは誠に残念でなりません。また、座談会での皆さんのコメントから、設計段階から分解のしやすさ、製造段階での資源の有効活用、冷媒回収のしやすさなど、空調機のライフサイクル全体における環境への取り組みが理解できました。マニフェストに関しては、単なる電子化にとどまらず、IoTを活用した使いやすい仕組みになるとさらに良いと思います。●製品紹介①②について 多くの製品において省エネ性が進んでいることが理解しやすく示されています。工場における製品ソリューションという切り口で、自社工場とお客さまの事例を多く掲載していることにより、導入がイメージしやすいと思います。また、潜在ポテンシャルが非常に高いと思う「熱回収CAONS」は、積極的な提案を今後も続けていただき、ESCO事業※などでの拡大展開を期待するとともに、低温熱のコントロールが得意なヒートポンプの活用の場を、ぜひ広げていただきたいと思います。●環境活動・環境イベントについて CO2排出量、廃棄物発生量、化学物質排出量が各拠点で大きく異なり、それぞれの特徴がうかがえます。省エネ照明機器やトップランナー変圧器の導入は、御社の省エネ空調機器を導入するのと同じで採算性も高いと思います。法規制の違いなどはあるものの、世界の各拠点で先進的な取り組みをいち早く普及させ、世界に名だたる環境企業になってほしいと思います。 今年で6回目となる夏休みの環境イベントは、初めて参加したecoスタイルリーダーと子どもたちが楽しく学ぶ様子が描かれています。この企画は、今後も維持、発展させていただき、工場見学から出張授業へ、そして各地域での活動へと展開していただければと思います。次代を担う子どもたちの心に自然への思いを伝え続けてもらいたいと願っています。 最後に、会社全体としての素晴らしい取り組みが伝わってきます。社員の皆さま一人ひとりの心に、環境への意識が浸透しているからだと思います。しかし、ふとした油断で大きな失敗へとつながることもあります。「社員一人ひとりの意識を高めること」と「継続容易な、ミスをしないための仕組みづくり」の両方を推進していただきたいという願いを込め、これからのさらなる活動に期待します。身近なテーマを、さまざまな視点で表現しています。今後の活動に期待します。第三者による所見を受けて※Energy Service Companies : 企業が省エネルギーに関する包括的なサービスをお客様に提供し、 発生する省エネ効果(メリット)の保証等と引き換えにその効果の一部を報酬として受取るもの。29東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2017すすてないで それまだ使えるかも 知れません(関係会社/佐野 雅彦)

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