東芝キヤリア社会環境報告書 2018年
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社会・環境報告書に対する第三者所見Observation by Third Party on Our CSR Report 第三方对社会·环保报告书的意见松尾先生、4年間にわたり第三者所見をいただきありがとうございます。世界をとりまく環境課題について、当社として「やるべきこと」「やれること」を考えてきました。特に「パリ協定」については、地球温暖化抑制につながる空調機器をはじめとした各製品を創出し、世界190か国以上に提供することにより、同じ価値で現状よりもCO2の排出量を削減できると考えます。さらに、「愛知目標」やその上位概念となる「SDGs」は、現在できていることや今後できることを整理しているところです。今回のテーマである「水」は、「SDGs」の第6項目として目標に定められていることもあり、人々の生活に密接にかかわる重要なテーマであることは言うまでもありません。この報告書は、当社の活動を紹介するだけでなく、手に取った人が2015年度から今年度までに設定した中期テーマ「SustainableSociety:持続可能な社会」を目指して少しでも環境問題に興味を持ち、一人ひとりができることを考えていくきっかけになればと考えています。4年間で4テーマを扱ってきましたが、松尾先生のご意見を拝聴しながら、地球内の企業として、また環境創造企業として、世界の環境課題と真摯に向き合い、解決に向けてできることを実行していきたいと思います。松尾 廣伸 (まつお ひろのぶ)静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻電気電子工学コース 准教授●プロフィール豊橋技術科学大学大学院 工学研究科修士課程 電気・電子工学専攻修了豊橋技術科学大学大学院 工学研究科博士後期課程 総合エネルギー工学専攻修了 博士(工学)現在、住宅における再生可能エネルギーの高効率利用、施設園芸における省エネルギー・低コスト化、住宅・建築物(キャンパス)における省エネルギー化と温熱環境などに関する研究に従事東芝キヤリア 環境推進室 室長 社会・環境報告書2018 企画・編集長 佐々木 美弥 今年度の社会・環境報告書は、一般にも浸透してきた「SDGs」、さらに「パリ協定」に寄与する環境調和型製品について、以前から環境への負荷が少ない状態で製造してきたことが分かりやすく示されています。某大国が離脱しようとも、多くの見識ある人たちは、「RE100※1」を目指す動きを活発化させています。パリ協定に沿って努力し、その先にRE100を目指すことが、長期的に多くの人々を幸せにすると信じています。 報告書は、4年の中期テーマである「SustainableSociety:持続可能な社会」のもと、2015年度版からの単年度のテーマを「地球温暖化抑制」「化学物質管理」「資源有効活用」として取り上げてきました。そして、最終年は「水資源有効活用」を取り上げました。私たち人間のみならず、生き物は水なしでは生きていけません。そのため、「水」は昔も今も、そして未来に向けても、とても大切なものです。私たち一人ひとりができることは小さいかもしれませんが、少しずつでもあるべき方向へと歩みを進めることが大切です。今年度版の内容は、それを忘れないためにも意義深く、また、東芝キヤリアの取り組みが理解しやすい内容になっていると感じました。以下、主な記事について項目別に所見を述べさせていただきます。●特集❶❷について 地球の財産と言ってもよい水のクイズを掲載し、分かりやすく紹介しています。水に不便さを感じない日本で暮らす私たちは、きれいな水を維持・管理していくことの大切さを忘れてはいけないことが、クイズや下段のコラムから伝わってきます。また、人類の生産活動や人口増に伴い、生活・工業用水として、飲食品として、そして汚染水として、水のストックが増えています。これは、少ない水の量で地球環境内での循環を行わなければならないことを意味します。一方、氷としてストックされていたものがとけ出している事実も見逃せません。限りある水を大切に循環させなければならず、その時、マイクロプラスチックも検証すべき対象になるでしょう。さらに座談会では、富士工場における排水処理から日常の節水まで、さまざまな意見交換があり、水の循環や生命の源である水の大切さが伝わってきました。●環境経営・製品紹介について 適切な管理体制で環境経営に取り組み、実績をあげていることが分かります。エクセレントECPが増え、さまざまな製品で省エネ性が進んでいることが紹介されているだけではなく、使用環境に合わせた製品紹介で導入へのイメージがしやすいと思います。また、潜在ポテンシャルが非常に高いと思うCAONSシリーズは、積極的な開発や提案を今後も続けていただき、ESCO事業※2などでの拡大展開を期待するとともに、低温熱のコントロールが得意なヒートポンプの活用の場を広げていただきたいと思います。●生物多様性保全活動・環境イベントについて 拠点によって異なる保護活動や清掃活動の様子が伝わってきます。今年で7回目となる小学生の環境イベントは、自社のecoスタイルリーダーと一緒に行う「環境すごろくづくり」でした。学びをまとめ、遊びへと昇華させる手法は非常によいと思います。また、事業プロセスにおける各環境活動は、どれも開始当初は劇的な変化があるものの、長期にわたってコンスタントに改善し続けることは非常に困難です。その中にあって、化学物質排出量の低減は着実な成果を上げています。ハードルは高くなると思いますが、ほかのテーマも含め着実な推進を期待します。 最後に、4年間にわたり第三者所見を担当させていただき、誠にありがとうございました。東芝キヤリアの製品面・製造面の両立した環境への取り組みが伝わってきました。新技術棟建設など、会社がさらなる拡大を目指すなかで、環境創造企業として、製造時にも使用時にも環境にやさしい製品群を提供していただくことを願ってやみません。貴社の益々のご発展を祈念しております。「水」や自社の環境活動を分かりやすく取り上げています。第三者による所見を受けて※1 Renewable Energy 100%(再生可能エネルギー100%) ※2 Energy Service Companies 省エネ改修にかかる経費を光熱水費の削減分で賄う事業29東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2018ももったいない その気持ちで電気スイッチオフ(関係会社/佐々木 孝子) せ設定温度1℃下げる積み重ねが省エネ効果(関係会社/沢倉 和昭)

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