社会・環境報告書 2019年
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オフィス内の天井カセット形室内機オフィスビル屋上に設置した室外機※1 自社を取り巻くマクロ環境が、将来にどのような 影響を与えるかを予測する手法。 Politics(政治)、E= Economy(経済)、 S=Society(社会)、T=Technology(技術)の 4視点から分析。 ※2 Zero Energy Building ※3 Building Energy Management System※4 Variable Refrigerant Flow省エネ、冷媒、データ解析、地 さまざまな方向性が見えてきた特集2座談会特集❶では、身近なコンビニを取り上げ、店舗で使用しているさまざまな機器の省エネ性を取り上げ、地球温暖化抑制に貢献する それを受けて特集❷では、地球温暖化抑制を実践し、各分野をけん引しているメンバーでの座談会を掲載します。なお、今回のメン 我科)私は業務用空調機の室内ユニットの構造設計をしています。当社では業務用エアコンの範疇を、主に店舗・オフィス用とビル用に分けていますが、2023年までを想定したPEST分析※1を基準に考えた場合、業務用エアコンは「低GWP冷媒の採用加速」「ZEB※2化に伴う空調機の省エネ推進」「IoTを通じたBEMS※3対応」「省工事や製品の軽量化による労働力不足への対応」が重要なテーマになっています。このことからも、地球温暖化抑制への取り組みが重要であることがうかがえると思います。杠)私が入社以来ずっと携わっているコールドチェーン(以下CC)機器の分野でも、製品に使われる冷媒を大気に排出しないようにする直接的な温暖化防止への取り組みと、エネルギー起源のCO2の排出量が少ない製品開発で温暖化抑制に貢献する間接的な取り組みが求められています。工藤)製造現場でも同じですね。当社では、以前から事業所内にある空調機の高効率機種への入れ替えを進めており、最近ではスポット・ゾーン空調の「FLEXAIR」(P16参照)を導入するなど、CO2排出量を削減する取り組みを進めています。我科さんや杠さんが担当する製品は、富士事業所で製造しているものも多いですよね。杠)コンビニという1つの空間をとっても、我科さんが所属する部門の製品をはじめ、冷凍機、ショーケース、換気扇や全熱交換器ユニット、エコキュートなど、さまざまな製品が使われています。それら一つひとつが、省エネに貢献することを目的に開発された製品であることは間違いないですね。杉崎)私が所属しているコアテクノロジーセンターという部署(以下CTC)は、当社が開発するほぼすべての製品にかかわり、新領域の基礎研究開発を目的にさまざまな分野での先行開発を行っています。私は、主に建築物の省エネ性向上を目的としたソフトウェア制御や、健康や快適性と省エネとの関係を研究していますが、CTCとしては、コンビニもターゲット分野の1つですね。我科)当社のVRF※4システムを設置しているオフィスビルやショッピングモールなどの大型施設でも、さまざまな冷凍・空調機器が混在するコンビニなどの小型店舗でも、温暖化対策に取り組む場合には快適性と省エネの両方が重要になるということですね。杉崎)私は、ちょうど東日本大震災の後からこの仕事にかかわり始めましたが、その頃は“我慢する節電”でした。しかし今は、我慢しないで“快適性と省エネの両立”が必要だと思っています。最近は「作業効率」というキーワードも登場し、我慢しない温熱環境では従業員の作業効率も上がり、それが省エネにつながればさらに良いのではないでしょうか。杠)コンビニの空調は誰のためかを考えた場合、それは、立ち寄っていただくお客さまはもちろん、長い時間店内でお仕事をされている店員さんのためでもあります。コンビニの空調をそのように捉えた場合でも、人への快適性と店内で稼働しているたくさんの機器の省エネ性を実現するために、さまざまな工夫が取り入れられています。例えば、入り口付近と店奥にあるそれぞれの空調機の負荷をバランス良く制御すれば、より省エネにつながると思います。工藤)確かに店員さんを基準に考えているのはそのとおりかもしれませんね。逆にスーパーはお客さまの滞在時間が長いので寒くてたまらないと感じることもあります。コンビニではそれぞれの人の感じ方によって設定温度を変えたい希望があるためでしょうか。私がいる事務所では、仮に誰かが設定を変えても、自動的に戻っていますよ。快適性と省エネの両立を実践するには、制御技術や管理方法も含めて考えなければなりませんね。杠)2013年の改正省エネ法では、電力の需給バランスを意識したエネルギー管理が盛り込まれ、さまざまな業務部門や家庭部門に対しても、設備機器の省エネ性能の向上に向けた対策を強化する方針が打ち出されました。それを受けて、コンビニ本部も地球温暖化への取り組みを積極的に発信していく傾向にあり、省エネ機器の導入や冷媒管理はもちろん、機器運転時のCO2排出量や、お弁当などを製造し、それを運搬する過程などの広い範囲でCO2排出量を開示する動きも見られます。仕事を通して、地球温暖化抑制について思うことや、省エネの観点から業界の動向などをお聞かせください。9東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2019

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