社会・環境報告書 2019年
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社会・環境報告書に対する第三者所見Observation by Third Party on Our CSR Report 第三方对社会·环保报告书的意见 松尾先生、弊社20周年にあたって第三者所見をいただきありがとうございます。2030年に向けてのパリ協定では、日本は2013年度比26%のCO2削減を宣言しています。我々ヒートポンプを利用した機器を提供している製造業が、パリ協定が目的としている地球温暖化抑制のためにできることは、省エネ機器をグローバルに拡販することで少しでもCO2排出量を削減することはもちろん、低GWP冷媒を使用した機器を提供することだと考えています。地球温暖化抑制は、SDGsの項目13(気候変動)でもあるため、重要なテーマとして今回の報告書で取り上げました。身近なコンビニをモチーフにトピックスを掲載し、読み手が身近に地球温暖化抑制をイメージできるよう、弊社の製品とのかかわりを紹介しました。また座談会では、環境調和型製品の開発や製造に取り組むメンバーで地球温暖化抑制を深く掘り下げました。製造面では、既存の製造拠点に加え、今後拡大していく拠点に関しても、最小限の環境負荷でモノづくりを実践することが必須です。従業員全員で知恵を絞りながら対処していきたいと思います。東芝グループグローバル環境アクションやecoスタイルリーダーの拡大を通じて、地球環境を意識しながら、日々の事業活動を続けていくことが地球環境保全につながることだと考えています。松尾 廣伸 (まつお ひろのぶ)静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻電気電子工学コース 准教授●プロフィール豊橋技術科学大学大学院 工学研究科修士課程 電気・電子工学専攻修了豊橋技術科学大学大学院 工学研究科博士後期課程 総合エネルギー工学専攻修了 博士(工学)現在、住宅における再生可能エネルギーの高効率利用、農村電化におけるマイクログリッドの最適化、小規模エネルギーシステムにおける省エネルギー化と電力制御などに関する研究に従事東芝キヤリア 環境推進室 室長 社会・環境報告書2019 企画・編集長 佐々木 美弥 今年度の社会・環境報告書は、会社設立以来の20年のあゆみと、SDGsやパリ協定に貢献する環境調和型製品に焦点が当てられています。SDGsは、一般への浸透が進んでいるだけでなく、これまでのお題目的な動きから、その影響を評価する段階へと移りつつあります。評価することは容易ではありませんが、いくつかのステップを経て、一層定着していくと思います。今回の報告では、バリューチェーンにおいてのSDGsへの影響に対して真摯に取り組んでいることが伝わってきました。 一方、私たちの身の回りでは多くの自然災害が発生し、温暖化の影響が目に見えて現れています。もはや「温暖化」という生易しい言葉ではなく、「気候変動」もしくは「気候変動危機」という言葉を使用すべきで、“待ったなし”と言っても過言ではありません。今年度のテーマに選んだ「地球温暖化抑制」は、そういう点からも意義深いと思います。 また、「東芝キヤリア20周年にあたって」では空調機器の進化を示し、技術で市場をけん引してきた様子が分かります。テーマとの関連性という意味でも、同社が開発してきた数々の製品が、暮らしにどうかかわってきたかが取り上げられています。台風による大規模停電で明らかになったように、私たちは空調なしで生きることが困難です。一方で、空調機器の製造・販売・使用は、温暖化を進行させる活動でもあります。そこで、私たちに求められるのは「上手なバランス」でしょう。一人ひとりができることは小さいかもしれませんが、歩み続けることが大切です。今年度版の内容は、歩み続ける東芝キヤリアの意志を感じさせる内容です。以下、主な記事について項目別に所見を述べさせていただきます。●特集❶❷ トピックス・座談会について コンビニを題材にさまざまな製品が活躍している様子が示されており、便利で快適な生活には、空調機・冷凍機・給湯機が不可欠であることが伝わってきます。単に高性能な機器を使うだけでなく、適切な温度管理や使用方法が大切なことも理解しやすくなっています。イニシャルコスト面で高性能機器の導入を躊躇する人もいますが、トータルコストでは安価になります。また、「温と冷」両方の熱が必要なコンビニでは、さらなる省エネ性向上が期待できそうです。もう一つ、建物や容器の断熱性能も大切であることを加えておきましょう。 ecoスタイルリーダーの方々を中心にした座談会では、それぞれの観点で温暖化抑制への取り組みが語られています。目指すは、“我慢する省エネではなく快適な省エネ”ですね。トータルソリューションによる実現に期待します。●環境経営・製品紹介について 適切な管理体制で環境経営に取り組み、外部認証などの実績をあげていることが分かります。性能向上による省CO2化も示されています。今後の低GWP冷媒のさらなる採用促進や、エクセレントECPの増加に期待します。また、化学物質管理は、RoHS指令・REACH規制の改定に伴い、ますますハードルが高くなっていると思います。最近、企業の長期的な成長のためにはESG※が示す3つの観点が必要とされ、その考え方が世界的に広まってきていますが、これを実践している東芝キヤリアがさらなる活動を推進していくことを切に願います。●生物多様性保全活動・環境イベント・環境活動について 拠点ごとの活動が愛知目標と関連付けて紹介されています。小学生の環境イベントは、ecoスタイルリーダーと一緒につくる「万年カレンダー」でした。学び・体験・経験をまとめ、遊びへと昇華させる手法はユニークです。今後は、メンバーの情報交換の場である「ecoスタイルリーダー掲示板」から、新しいアイデアが生まれてくることを期待します。また、事業プロセスにおける各環境活動は、どれも開始当初は劇的な変化があるものの、長期にわたってコンスタントに改善し続けることは困難だと思いますが、今後も着実な推進を期待します。 最後に、本年も第三者所見を担当させていただき、誠にありがとうございました。東芝キヤリアの製品面・製造面の両立した環境への取り組みが伝わってきました。環境創造企業として、地球温暖化抑制に貢献する製品群を提供していただくことを願ってやみません。貴社の益々のご発展を祈念しております。20年のあゆみと温暖化抑制への取り組みが、分かりやすく表現されています。第三者による所見を受けて※Environment Social Governance29東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2019ももう 1度 温度見直し、エコ設定(関係会社/なかもり) せ世界が注目温暖化 地球の未来は我々が守る(富士/アオリイカ)

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