東芝キヤリアグループ社会・環境報告書2020
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「愛知目標」は、2010年に開催された第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)で採択されました。“2050年までに「自然と共生する世界」を実現することを目指し、2020年までに生物多様性の損失を止めるための効果的かつ緊急の行動を実施する”という20の個別目標が示されています。この会議の開催に先駆け、東芝キヤリアグループでは、前年の2009年度から国内3拠点(富士事業所、津山事業所、掛川開発センター)における活動を開始し、さらに2015年度からは、海外3製造拠点(タイ2拠点、中国1拠点)でも生物多様性保全活動を拡大しています。「東芝グループグローバル環境アクション※4」として当社グループが取り組んだ活動は2019年度実績で84件ですが、そのうち77件が生物多様性保全にも大きく関係するものです。各活動は、従業員への生物多様性保全の重要性を理解する心を醸成し、海外拠点では毎年趣向をこらした内容で地域の方たちとともに取り組んでいます。「愛知目標」の最終年として、各拠点の活動を整理し、「愛知目標」のうちの10項目について報告します。また、生物多様性保全のベースとなる地球環境の保全のため、各拠点における製造活動では、公害防止をはじめとした環境法規の遵守や環境リスクの撲滅が重要であることから、これらが確実に行われているかを、グループ内拠点に対する内部監査や環境巡視などで確認しています。さらに、製品を構成する部品に含まれる化学物質についても、近年は世界各国の規制が拡大しています。そのためグループ全体で体制を強化し、国内外各拠点で情報を共有しながら迅速かつ確実に対応しています。「愛知目標」10項目について、生物多様性保全活動をグループ全体で実施するとともに、製品化学物質管理を一層強化していきます貢献し、していきます貢献し、していきます世界では、地球環境の変化から人類の将来を考え、持続可能な社会(Sustainable Society)を構築することが最重要課題として認識されています。地球温暖化を抑制するための「パリ協定」、生物多様性保全を維持するための「愛知目標」、それらの上位概念である「SDGs (Sustainable Development Goals)」が提案され、日本はそれらに合意し推進を図っています。また、最近では、企業の財務査定による評価のほか、これらESG(Envi-ronment Social Governance)という数値には表れにくい事項を評価し、推進するためのESG投資という概念が欧米をはじめ日本でも拡大しています。このような背景を踏まえ、世界の平均気温の上昇を産業革命前と比較して2℃より低く抑え、1.5℃未満に抑える努力を追求することを目標にした「パリ協定」に寄与するために、東芝キヤリアの役割は重要であると考えます。それは、世界各国に提供している空調製品において、ライフサイクルアセスメント(LCA)によって導き出されたCO2排出量の95%以上を占める「使用時のエネルギーに起因するCO2排出量」を大幅に削減することと、それらの製品の「開発時や製造時に発生するエネルギー起因を含めたCO2排出削減」に貢献していくことです。また、当社はヒートポンプを利用した製品を提供するにあたり、温室効果ガスである冷媒を使用していることから、高い技術で最適な冷媒を選定し、低GWP冷媒※1の採用を順次行っています。2020年6月、東芝グループはSBT認定※2取得を宣言し、東芝キヤリアグループもその傘下として、製品提供におけるCO2削減(Scope3)※3、およびそれらを実現するための自社事業プロセスにおけるCO2削減(Scope1および2)※3について2030年度までのシナリオを作成し、具体的な施策を織り込む計画を立案して実現していきます。「パリ協定」に寄与することをあらためて宣言し、できることから着実に取り組んでいきます※1 地球温暖化係数(GWP:Global Warming Potential)の小さい冷媒※2 SBT認定(Science Based Target)企業が中長期的に設定する温室効果ガス削減目標が、 パリ協定が求める水準と整合していることを認定する仕組み※3 Scope1 : 自社による温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス) Scope2 : 自社以外から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出 Scope3 : Scope1、Scope2以外の間接排出(事業者の活動に関連する自社以外の排出)※4 東芝グループが推進する従業員参加型の環境活動President & CEO Toshiba Carrier CorporationToru Kubo東芝キヤリア株式会社 取締役社長2020年10月久保 徹く  ぼ  とおる2東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2020

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