東芝キヤリアグループ社会・環境報告書2020
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 松尾先生、報告書の内容に関して、網羅的に所見をいただきありがとうございます。今回の報告書では、東芝キヤリアグループの製品提供が世界に拡大していく中で、グループを取り巻く「バリューチェーン」と「ステークホルダー」に焦点を当てたうえで我々の役割を明確にし、これまで「地球温暖化抑制」「資源有効活用」「化学物質管理」の3つの課題に対して取り組んできた活動をSDGsと結びつけて紹介しました。その中には、「パリ協定」「愛知目標」を達成するための活動も含まれています。また、海外で製造の主力となっているタイや中国の拠点と、日本の製造拠点の環境キーパーソンによるリモート座談会では、お互いの環境活動を紹介することによって、自拠点の課題を再確認できたと思います。 今後、開発体制の拡充や海外での製造の拡大化に伴って生じる環境課題を含め、グループ全体で連携し、解決していきたいと思います。ecoスタイルリーダー制度などを通じて、東芝キヤリアグループで働くすべての人が自発的に環境活動の重要性を認識し、我々が行う企業活動のあらゆるステージで環境活動を取り入れていくことが、環境創造企業を目指す東芝キヤリアグループにとって重要な使命だと考えています。松尾 廣伸 (まつお ひろのぶ)静岡大学大学院総合科学技術研究科工学専攻電気電子工学コース 准教授●プロフィール豊橋技術科学大学大学院 工学研究科修士課程 電気・電子工学専攻修了豊橋技術科学大学大学院 工学研究科博士後期課程 総合エネルギー工学専攻修了 博士(工学)現在、住宅における再生可能エネルギーの高効率利用、農村電化におけるマイクログリッドの最適化、小規模エネルギーシステムにおける省エネルギー化と電力制御などに関する研究に従事東芝キヤリア 環境推進室 室長 / 社会・環境報告書2020 企画・編集長 佐々木 美弥 コロナ禍の夏は、豪雨による河川の氾濫や土砂災害が多い夏でもありました。また、私の住む静岡県浜松市が日本の最高気温に並ぶ41.1℃を記録するなど、暑さや熱中症との闘いの夏でもありました。日本は、もはやエアコンなしでは命に危機が及ぶ気候になっています。世界中に気候変動危機の影響が現れている今、生活環境の維持と地球環境問題意識の共有、そして対応は避けられない課題です。 今年度の社会・環境報告書は、「パリ協定」「愛知目標」「SDGs」に関する東芝キヤリアグループの取り組みが非常にわかりやすく、これまでとは違った構成で表現されています。「地球環境と向き合う-バリューチェーンマネジメント-」と「社会とともに歩む-ステークスホルダーエンゲージメント-」の各カテゴリーで整理し、会社としてのかかわりについて工夫を取り入れた紹介の仕方です。さらに、開発体制や新拠点の拡充で、国内外各拠点ともに飛躍を目指す様子が伝わるとともに、グループ各社の環境に関する取り組みが伝わってきます。報告書内では重要なキーワードが繰り返し説明され、読者はとても勉強になると思います。定着してきたSDGsやESGに早くから真摯に取り組んできた環境活動を感じ取ることができました。以下、主な記事について項目別に所見を述べさせていただきます。●価値創造の歴史と長期ビジョン 多くの製品を世の中に送り出し、同時に環境への取り組みを行ってきたことが一目で理解できます。また、この頁での記載内容を中心に、それぞれの記事にも展開しています。そして、これまでも伝え続けてきたヒートポンプ技術を軸にした環境創造企業であることを、長期ビジョンとして明示しています。●地球環境と向き合う -バリューチェーンマネジメント- 「バリューチェーンにおける環境課題抽出と各対応」では、企画から製品の廃棄に至るまでの環境課題に対する対応内容が詳細にまとめられ、製品のライフサイクルにおける環境への取り組みがわかります。そうして生み出されたエクセレントECPが紹介され、分野ごとにどのような形で寄与しているかがわかります。 特集1の「拠点環境担当者座談会」では、国内とタイ(TCTC)・中国(TCAC)の各担当からそれぞれ特徴ある活動が紹介され、とても興味深い内容になっています。特に国内では、開発系の電力使用量が製造系を上回っていることに驚かされました。製造の海外拡大が進んでいることにも関係すると思いますが、開発側も同時に省エネを推進していかなければなりません。また、タイのリサイクルコンテスト、中国の再生レンガ、日本国内の豊かな自然保護活動、地域密着型の子どもたちへの環境教育などが話題になりました。これからも担当者間で情報や意見の交換を続けていただき、活動の充実度を高めていただきたいと思います。 「製造プロセスにおける環境課題解決への取り組み」では、拠点ごとの特徴が興味深い結果になっており、改善への糸口が示されていると思います。拠点ごとで課題に違いがあると思いますが、さらなる深い取り組みが望まれます。 「生物多様性保全活動」では、愛知目標に対するグループの取り組みと具体例が紹介され、座談会の記載内容と重ね合わせると、活動の実態がよくわかります。●社会とともに歩む -ステークスホルダーエンゲージメント- お客さま、従業員、お取引先さま、地域社会、業界団体・教育機関、行政をステークホルダーと位置付け、それぞれとのかかわりがわかりやすく紹介されています。特に特集2の「工場の省エネソリューションの紹介」では、工場内での省エネや快適な環境の維持について、自社製品と連動させた表現になっています。また、「製造プロセスにおける環境課題解決への取り組み」で示されたこととの関係性も理解できます。“我慢する省エネではなく、快適な省エネ”を示し、自社の取り組みがさまざまな分野で活用できるのは素晴らしいと思います。 最後に、本年も第三者所見を担当させていただき、誠にありがとうございました。東芝キヤリアグループの製品面・製造面の両立した環境への取り組みが伝わってきました。これからも環境創造企業として、暮らしの環境と地球環境の両面に貢献する素晴らしい製品を提供していただくことを願ってやみません。前述では、メインの記事を中心に所見を述べてきましたが、欄外にはグループ員が作成した「環境いろはかるた」で、楽しい標語も掲載されています。製品のみならず、環境報告書の誌面でも、常に新しい視点を取り入れる貴社の益々のご発展を祈念しております。環境活動に関する取り組みが、新たな視点でわかりやすく表現されています。社会・環境報告書に対する第三者所見Observation by Third Party on Our CSR Report ⁄ 第三方对社会·环保报告书的意见第三者所見を受けて環境いろはかるた30東芝キヤリアグループ 社会・環境報告書 2020す捨てるはごみ、使えば資源(富士/石川 颯)

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