換気・送風機総合カタログ2024年版
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技術・設計資料4建築基準法(シックハウス対策)1. 背景近年、遮音性や冷暖房効果を求めて高気密・高断熱住宅が広く普及してきています。高気密・高断熱化することにより室内外との遮断は確保できるのですが、空気の入れ替えという点からは逆に不利になってきています。一方、住宅建築材料においては、加工性や施工性などの点からいろいろな化学物質を含んだ建築材料が使用されるようになってきています。また、建築材料だけではなく、家具などに使われている材料からも化学物質が漏れ出ていると言われています。この住宅構造と揮発性の化学物質とが相まって室内に化学物質が滞留し「めまい」、「吐き気」、「頭痛」、「目、喉の痛み」などの健康障害が引き起こされていると言われています。この健康障害を「シックハウス症候群」といい、この対策として2003年7月建築基準法が改正されました。 しんかべづくり544自然換気回数:1時間当たり約4回台所浴室リビング寝室ホテル昔の住宅(在来工法)■化学物質の室内濃度指針値③対策内容 対策Ⅰ, 内装仕上げの制限 ………… 使用可能建築材料、使用不可 対策Ⅱ, 換気設備設置義務付け ……………… 必ず設置しなければなりません 対策Ⅲ, 天井裏などの対策 ………… 天井裏などから居室へ化学物質が換気設備が必要な所自然換気回数:1時間当たり約0.1回洗面所子供部屋店舗最近の住宅(高気密・高断熱)建築材料があります漏れ出ることを防ぎます居室の種類住宅等の居室上記以外の居室換気回数0.5回/時0.3回/時昔ながらの家、在来工法で建てられた家では空気の流入にとっては適度な隙間が存在していたため「シックハウス症候群」は起こりにくいと言われています。2. 改正のポイント①改正時期 2003年7月1日 着工分より②改正内容 シックハウス症候群の原因となる化学物質は下表にあるようにたくさんの種類がありますが今回の改正ではその内の「ホルムアルデヒド」と「クロルピリホス」2種類の規制を目的とし改正されたものです 1 ホルムアルデヒド → これを含む建築材料の 使用制限 2 クロルピリホス  → これを含む建築材料の 使用禁止<厚生労働省>壁と壁の間、壁と柱の間、建具などに適度な隙間があります。化学物質濃度指針値(μg/m3)気中濃度0.08ppm0.07ppb0.07ppm0.20ppm0.04ppm0.88ppm0.05ppm0.02ppm0.04ppm7.6ppb0.02ppb0.03ppm3.8ppbホルムアルデヒドクロルピリホストルエンキシレンパラジクロロベンゼンエチルベンゼンスチレンフタル酸ジ-n-ブチルテトラデカンフタル酸ジ-2-エチルヘキシルダイアジノンアセトアルデヒドフェノブカルブ100126087024038002202203301200.294833ppmは体積濃度 μg/m3は重量濃度 高気密・高断熱住宅は、居住環境の快適性を追求した結果自然換気が少なくなっています。室内濃度指針値主な用途合板、壁紙、接着剤白蟻駆除剤施工用接着剤、塗料溶剤塗料溶剤、樹脂防虫剤塗料、接着剤発泡スチロールプラスチック、塩化ビニルの可塑剤有機溶剤壁紙の可塑剤有機リン系殺虫剤防腐剤、溶剤防蟻剤気中濃度は25℃の場合1ppmは100万分の1の濃度(1m3中に1cm3の汚染物質がある場合1ppm)1ppbは1ppmの1000分の11m3中の汚染物質重量を示す1000μg/m3=1mg/m3④換気回数右記の換気回数を確保しなければなりません。この換気回数を確保すれば厚生労働省で定められた室内空気汚染濃度指針値は満たすといわれています。※換気回数0.5回/時とは換気扇を1時間動かしたとき、居室の空気の半分(0.5)が外の空気と入れ替わることをいいます。⑤対象建築物人が継続的に在室する※居室全て。●新築建築物●増改築建築物 増改築を行う居室と既存部分との間に建具等について、換気経路としない                         ように計画した場合は、増改築等を行う居室に限りホルムアルデヒド対               策が適用されます。         他の場合は、一般的に住戸全体で換気を行うことから、住戸全体(既存部分を含む)にホルムアルデヒド対策が必要です。また、内装材としている建築材料が建築物として5年以上経過していれば、建築材料としての種類は問われませんが、対策の■、■は必要です。※居室とは 建築基準法第2条第4号で「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定められています。・ 居間、食堂、台所、寝室、和室などを言い住宅等の居室とは●空気を浄化する機械換気設備………… 平成16年4月現在一般化 内装にホルムアルデヒド発散量の少ない建材を使用する場合でも室内に持ち込んだ家具などからホルムアルデヒドが発散することがありますので、換気設備を設置し、強制的に室内の換気を行わなければなりません。② 換気回数は決められています。● 規制対象外建築材料を使用する場合でも換気設備を設置し、上表を満足しなければなりません。● 第2、第3種建築材料を使用する場合は【対策Ⅰ】の表1にあるように換気回数はさらに細分化されています。● 給気側、排気側各々が左記換気回数を満足している必要がありますが、ダクト配管を使用しない設備では給気側、排気側のいずれかが上記換気回数を満足していればよいものです。常時外気に開放された開口部と隣間の面積の合計が床面積1m2あたり15cm2以上の居室 6畳間なら ・・・・12.1cm四方相当の穴 8畳間なら ・・・・13.9cm四方相当の穴 10畳間なら ・・・・15.6cm四方相当の穴ます。・ 下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室、家具その他これに類する物品を営む店舗も含まれます。・事務所の事務室、会議室など・ 病院の病室、診察室、薬剤室、受付、 待合室など・商店の売場、休憩室など・飲食店の客席、厨房など真壁造で外壁、天井、床に合板等を用いない居室真壁造壁面が柱と柱の内法(うちのり)面に仕上がり、柱は構造体と同時に化粧材ともなる。特に和室などの伝統的な室内に使用される。テムで使用されておらず、将来の登場を期待したもの居室の種類住宅等の居室上記以外の居室換気回数0.5回/時0.3回/時上記以外の居室とは居室以外の室(廊下、浴室、洗面所、トイレなど)の扱い廊下、浴室、洗面所、トイレなどは居室ではありませんが、換気経路上居室とつながっている場合は居室と一体とみなされ、「内装仕上げの制限」や「換気設備設置」などが必要となってきます。換気設備設置義務のない造り(適用例外)3. 具体的対策内容対策Ⅰ,内装仕上げの制限詳細は下記URLを参照ください。http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/sickhouse.files/setumeishiryou.pdf対策Ⅱ,換気設備設置義務付け① 次のいずれかの換気設備を設置しなければなりません。●機械換気設備……………………………24時間常時換気システム●中央管理方式の空気調和設備………… 主にビルなど、大型シス しかも住居だけではありません。学校・事務所・病院・ホテル・店舗などにも。トイレ和室法 規 編(         )

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