東芝キヤリア技術史
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冷媒︵ガス︶冷媒︵液+ガス︶!!熱熱熱熱熱熱熱!■冷凍サイクルを使って暖房するしくみ寒い冬でも、蒸発器で大気より低温の冷媒に熱を集めて、凝縮器で高温冷媒よりも低温の部屋の空気に放熱する事で、暖房する事ができます。1℃ヒートポンプの原理冷媒の圧力を高めて循環エネルギーを作るために電力を使います。高温高圧の気体を液体にするはたらきがあります。凝縮器では、高温状態である事と冷媒の放熱とで、熱が冷媒から空気に移動します。この時、空気の入れ替えのため送風機を回す時に電力を使います。中温高圧の液体を減圧して温度を下げる事で、気化しやすい状態にしながら、周囲よりも温度を下げる役目があります。低温低圧の液体を気体にするはたらきがあります。蒸発器では冷媒が低温状態である事と吸熱の効果で、熱が空気から冷媒に移動します。この時、吸熱する側の空気の入れ替えのため送風機を回す時に電力を使います。0℃7℃20℃22℃高圧液膨張弁蒸発器0℃0℃535℃凝縮器圧縮器電力室内吹出空気60℃高圧ガス低圧ガス5℃大気の熱室内20℃室外7℃1入力(電力)の数倍の熱量が得られるコップの水は凍っていく温度差を作れば熱を移動する(集める)事ができるんだ。寒い冬でも、まわりより冷たいモノを置いておけば、熱を集める事ができるね。低い側-10℃コップの氷は溶けていく高い側-3℃高い側-3℃② 気体から液体になる時に熱を出し、液体から気体になる時に  熱を吸収します。気 体気体の状態を変化させれば、熱くも冷たくもできるんだ。冷凍サイクルを使えば、寒い冬でも大気熱を集めて、暖房することができるんだ。ヒートポンプでは、冷媒を圧縮する(移動させる)ためと、送風機で空気を入れ替えるために電力を使うんだ。使ったエネルギー(注1)よりも、はるかに多くの大気中の熱エネルギーを集めて利用できるから、とても効率的なしくみなんだね。圧縮圧縮機凝縮器膨張(減圧)弁蒸発器注1:発電して得たエネルギーを石油に換算したものを一次エネルギー換算と言います。通常、火力で電気を作る時は送電ロス等も含めて、一次エネルギーの38.4%(※1)が電気エネルギーとして利用できるとされており、ヒートポンプでは消費したエネルギーの約2.6倍以上の熱エネルギーを利用できれば、石油を直接燃やした時よりも効率的ということになります。※1 出所: 経済産業省 資源エネルギー庁 ホームページ     「エネルギー原別標準発熱量・炭素排出係数(2018年度改訂版)」  2009年、欧州で採択された「再生可能エネルギー推進に関する指令」の中で、ヒートポンプ利用により得られた熱エネルギーを、太陽光、風力、地熱などによる発電と同様に再生可能エネルギーとして扱う事が明記されました。同年、日本でも「未来開拓戦略」に、EU方式を踏まえ、再生可能エネルギー導入指標にヒートポンプ等を含むと明記されています。20コラム■熱の特性熱は温度が高い側から低い側に移動します。極 寒常 夏■気体の状態と温度① 気体は圧縮すると温度が上がり、膨張すると温度が下がります。膨張熱熱熱!6凝 縮蒸 発熱液 体■ヒートポンプの原理「冷凍サイクル」とは気体の状態を変化させながら、循環させることです。この時に状態変化(気体・液体)しながら、熱を運ぶ役目をするのが、「冷媒」です。ヒートポンプについて

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