東芝キヤリア技術史
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︵空気清浄機︶省エネ︵能力可変幅拡大︶廃棄物抑制とリサイクルへの取り組み化学物質の管理 ︵鉛フリー︑特定 オゾン層保護冷媒切替︵HCFC冷媒全廃︶省エネ技術︵部分負荷特性向上︶への挑戦︵冷凍サイクル︑コンプレッサ︑インバータ︑各種モータ︑送風機などの効率改善︶物質群︵RoHS6物質含︶の削減︑pvc/BFRの削減︶総合的な資源有効活用への取り組み︵3R:小形軽量化/梱包材削減/再生材利用︶︵高効率技術と低コスト化技術の推進︶地球温暖化抑制︵ヒートポンプ技術による熱源転換推進︶地球温暖化抑制︵冷媒:CFC冷媒GWP総量の段階的削減の前倒し/次世代冷媒検討︶CPS応用システム省エネ創出注1: 1R;リサイクル → ・3R;レデュース(原材料低減)、レリース(再生材)、リサイクル(再利用) 70年代初頭の「国連人間環境会議」や、日本の「自然環境保全法」や、80年代のオゾン層破壊現象への警鐘等、現代に繋がる地球環境問題の兆しはあったが、社会全体の意識はまだ低く、省エネ技術はもっぱら、日本のエネルギー資源問題から来ていた。ただ、それが現代の使用時のCO2削減に直結する技術であることは興味深い。「機器の効率を上げる」ことは「不変の正義」ということなのであろう。■ 能力可変技術1978年 ・世界初 マイコン搭載エアコンインバータ以前にも様々な能力可変技術を実用化した。1980年 ・世界初 業務用インバータエアコン  1981年 ・世界初 家庭用エアコン用● レリース回路冷媒ガスの一部を圧縮せずに吸込み側に逃がすレリース     能力可変シングルロータリーコンプレッサ回路を設け、室温到達後はパワーセーブ運転(約16%の1981年 ・世界初 家庭用エアコン用 交流(AC)インバータ省エネ)を行った。         (正弦波近似バルス幅変調方式)コンプレッサモータを2極-4極の極数変換し、回転数を● 極数変換1981年 ・世界初 家庭用インバータエアコン半減させた。■ 空質大気汚染などは社会問題の一つになっていた。集塵性能に優れる2段電極式1981年 ・世界初 電気集塵機付きエアコン1988年 ・世界初 ツインロータリーコンプレッサA1シリーズの電気集塵機を搭載した。1990年代~ 東芝グループで総合環境監査がスタートし「環境調和型製品」という概念が浸透していく。また、ヒートポンプ技術は冷媒を使用するため、オゾン層破壊といった切実な課題から冷媒戦略が重要になっていた。当時の温暖化対応は、もっぱら機器の省エネ技術開発を重点的に行った。(製品ライフサイクル中でCO2換算した環境負荷の9割以上が使用時における電力消費にある)■ 冷媒選択(オゾン層破壊係数ゼロ化:特定フロンガス(HCFC)から 代替フロン(HFC)へ)代替フロンの中では機器の高効率化、大能力化あるいは小形化がが可能となる「R410A」が、オゾン層破壊ゼロで且つ地球温暖化抑制にも寄与する冷媒として、その採用を基本に戦略が練られた。そしてコア技術である「インバーター」と「ツインロータリーコンプレッサ」を 持つ家庭用エアコンの開発方針が固まった。(後にこれをインバータ&グリーン戦略として家庭用以外の機器に展開していった) ■ 省エネバンガード21(省エネ機器の表彰制度)当社の通商産業大臣賞受賞をきっかけに本表彰制度の認知度が一気に高まり、社会の「環境と省エネ」に対する機運の醸成に一役買った形となった。■ インバータ、コンプレッサ以外の省エネ技術90年代は熱交換器、筐体、送風機技術等も大きく進化し、室内機、室外機が一気に高性能化した。 熱交換器・くの字曲げ/ラムダ曲げ・多段曲げ・円弧・細径化・溝付管 製品開発は、環境負荷(CO2排出量)が大きい使用時の消費電力削減(省エネ)にとどまらず、「資源有効活用(1Rから3Rへ)注1」や「化学物質管理」、「生物多様性」等にも配慮した。特に省資源化への努力は高効率化、低コスト化技術を促進する事にもなり、「やりたい事」と、「やるべき事」が合致した時代とも言え、インバーター&グリーン戦略を核に強力に推進していった。欧州を中心に世界各国で環境に関する法規制が出され始め、最新の法規制情報を、早く、分かりやすく、正確に開発・設計部門に伝えるスタッフ部門の重要性が増していった。 2003年から、当社の環境活動を社内、社外でより理解していただくために、「環境報告書」刊行が始まり、2007年からは「21世紀環境創造企業」を掲げ、東芝キヤリアグループが目指すべき方向性を内外に宣言した。■ インバータ&グリーン戦略展開 ※R410A冷媒化1999年2001年2001年 1970~80年代オイルショックで突き付けられた「資源輸入国日本」にとって、省エネが社会課題になっていった時代2000年代~・カスタム・コンプレッサ・コンプレッサ・インバータ・カスタム・カスタム ・マルチ ・パッケージ・業務用給湯・冷凍機器・冷凍機器 ・コンプレッサ・チラー 2010年代~2001年2001年2001年2003年2003年2004年2005年2006年2010年2010年オゾン層破壊、地球温暖化などを筆頭に地球環境問題がクローズアップされてきた時代地球温暖化対策が省エネとは別に、GWP(地球温暖化係数)総量規制に変わっていった注2。 また、SDGs、ESG投資など環境課題への社会的な取り組みも本格化してきた時代2010年になり、「グローバルに成長する環境創造企業」というフレーズとともに、初めて「ヒートポンプソリューション企業」というビジョンが示された。製品のコモディティ化に地産地消(海外製造拠点構築)で対応しつつ、インバータ&グリーン戦略の海外展開や、熱源転換によるヒートポンプ市場の創出、顧客価値の創造といった技術オルエンテッドな事業拡大戦略にも力が注がれた。注2: 地球温暖化抑制に対して、従来の機器の省エネ化に加えて、地球温暖化係数が高い冷媒の使用総量を段階的に削減する決定がなされる(2016年キガリ改正)■海外:インバータ & グリーン拡大2009年 欧州 家庭用ヒーポン給湯機2010年 グローバル SMMS-e(海外専用)2011年 中国 横吹マルチ(現地生産)2012年 インド ステーブルパワーインバータ       (冷専アルミ熱交)2018年 中国    家庭用エコキュート2020年 欧州 R32採用 空冷ヒートポンプチラー■国内:市場創造/熱源転換2003年 SFMC    新ジャンル「大容量空冷チラー市場」創生2010年 USX     熱源転換(vs吸収式)2012年 CAONS   熱源転換(vsボイラー蒸気)2019年 PROCOOL  大形冷凍機市場進出横流ファン・大径化・ランダムピッチ・スキューブレード・ケーシング最適化21世紀は「環境の世紀」と言われ、各国で環境に関する法規制がスタート、環環境対応が開発目標に組み込まれていった時代15パワーエコ A2DCツインロータリーコンプレッサ A3DCツインロータリーコンプレッサベクトル制御インバータ (正弦波)スーパーパワーエコ(海外SDI)スマートエコ(海外DI)スーパーモジュールマルチ(グローバル)シングルエースほっとパワーエコBIGインバータ搭載オープンショーケースインバータ搭載冷凍機A4DCツインロータリコンプレッサユニバーサルスマートXターボファン、プロペラファン・3次翼面・バイオミメティクス■ 冷媒対応2002年 ・冷蔵庫用コンプレッサR600a(イソブタン)2009年 ・家庭用給湯機用コンプレッサR744(CO2)■ インバータ展開2001年 ・換気扇 インバータ搭載レンジフード■ RoHS対応(化学物質管理)2001年~ ・鉛フリーはんだ採用開始(2003年完了)2005年   ・蛍光X線分析装置導入2005年  ・フーリエ変換赤外分光光度計導入2006年~ ・欧州RoHSスタート■GWP総量規制対応2009年 家庭用給湯 R744 エコキュート2014年 冷凍機 R744 オープンショーケース2015年 カスタム R32 ウルトラパワーエコ2019年 カスタム R32 スーパーパワーエコゴールド2019年 カスタム R32 スマートエコneo2020年 冷凍機 R448A インバータ冷凍機     R449A インバータ冷凍機1993年 ・直流(DC)ツインロータリーコンプレッサ1993年 ・直流(DC)インバータ(矩形波生成)1993年 ・業界初 当社エアコンが省エネバンガード21受賞 1999年 ・世界初 コンプレッサモータ集中巻きコイル採用その他・ファンモータのDC化・壁掛上吸い込み・ケーシング・ベルマウス構造・極低抵抗ファンガード22への取り組み

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