3-インバータ&グリーン戦略︑はじめの一歩冷 媒コンプレッサ制 御DCツインロータリーコンプレッサ高効率インバータ駆動DCツインロータリーR410A高圧対応設計大容量コンプレッサ45家庭用R410A高圧対応設計業務用/産業用へ展開A2,A3,A4シリーズ新規開発高効率インバータ駆動大電流インバータ素子開発A1シリーズ割(当社は約2~3割)しかなく、一定速機が主流であった。つまりインバータ&グリーン戦略は業務用空調機市場を激変させる途方もない戦略だった事がわかっていただけようか。2- インバータ&グリーン戦略を実現させるためにはコンプレッサの大容量化をはじめ、現実の開発があり時間を要した。そこでその展開にはいくつのステップを伴った。その最初のステップがパワーエコである。 まず、市場が完全にR407Cで固まる前に、R410A製品で一石を投じる必要から、家庭用室外機をベースに短納期開発を行ない、ラインアップは3馬力以下のみとし、組み合わせる室内ユニットも需要が多い4方向天カセ、天吊、壁掛の3形態のみとして、通常のラインアップとは別枠で発売する事にした。これは業務用市場でR410Aが受け入れられるのかどうかのリサーチも兼ねており、従来の3馬力より性能は高く、圧倒的にコンパクトな筐体というのが特徴であった。つまりパワーエコとは「R410Aを採用すると、高性能で且つ、こんなにコンパクトになるのだ」という業務用空調の未来を分かりやすく提示した、インバータ&グリーン戦略の名刺代わりの一台であったわけである。 パワーエコの市場での評価は上々で、懸念されたR410Aの高圧冷媒取扱いについても特に大きな反発は無かった。 そして、大容量DCツインロータリーコンプレッサ、大容量ベクトルインバータ」の開発とともに2.3馬力から6馬力までの業務用専用筐体を新開発し省エネ性(当時の省エネ指標はまだ定格COP)で他社を圧倒するスーパーパワーエコシリーズフルラインアップを完成させ2000年度末に発売するとその年度の省エネ大賞を受賞した。そして搭載されたコンプレッサも省エネ大賞を受賞するというダブル受賞になった。また、同2001年にはマルチ筐体に2基のDCツインロータリーコンプレッサを搭載し、それぞれをベクトルインバーエピソード0パワーエコスーパーパワーエコインバータ&グリーン戦略が業務用エアコンの世界を変えた 1998年(平成10年)に家庭用エアコンにオゾン層破壊係数ゼロの高効率冷媒R410Aを投入し、省エネNo.1を達成して以降、その技術を他事業製品へ拡大したのが「インバータ&グリーン戦略」である。ここでは、同戦略の先陣となった店舗オフィス用エアコンをふりかえる。1- オゾン層保護のため、それまで空調用冷媒として使われていたR-22の段階的廃止を受け、代替候補として、R407CやR410Aが挙げられた。当社ではR410AがR407Cに比べて約1.6倍の高圧になるものの、冷凍能力が高く圧力損失も小さいという冷媒としてのポテンシャルが高い事や、沸点が極めて近い疑似共沸混合冷媒の扱いやすさ等から、まず家庭用で採用する事を決め、新冷媒対応コンプレッサや熱交換器の開発を進めていった。その中で、高圧冷媒とツインロータリーコンプレッサとの相性の良さもわかってきた。そして、その特長を活かした高性能化技術の開発を行い、いち早くR410A採用の家庭用エアコンRAS-285LDRシリーズを発売した。同シリーズは、全機種業界トップの省エネを達成し、全クラスのトップランナー基準機種に選定されるとともに、その年の省エネ大賞(経済産業大臣賞)を受賞したのである。 一方、業務用空調製品では高耐圧設計がネックとなりR-22と圧力が同等なR407Cを採用するというのが主流の考えになっていたが、当社では、家庭用エアコンの開発実績から業務用空調製品に対してもR410A化に舵を切る事にした。ここに、「R410A冷媒」×「ツインロータリーコンプレッサ」×「インバータ」を軸とするインバータ&グリーン戦略が誕生、R410A用の直流ツインロータリーコンプレッサの大容量化と、それを駆動する大容量インバータの開発という一大プロジェクトがスタートしたのである。 当時、業務用空調市場のインバータ化率は全社平均で約1初物語
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