東芝キヤリア技術史
48/68

インバータ&グリーン戦略︑はじめの一歩5- 業務用展開以降、インバータ&グリーン戦略はビル用マルチ空調システム、パッケージ、給湯・温水機、ショーケース、冷凍機、空冷チラー等ヒートポンプサイクルを搭載する機器に次々と展開されていった。 なお、インバータ&グリーン戦略が立案された1990年代の地球温暖化対策は省エネ対策が主体で、環境負荷においてライフサイクル全体の95%以上を占める使用時の電力消費量を抑制することが最重要課題であった。よって、R410Aの■インバータ&グリーン戦略の展開 ※R410A冷媒化年 1999年2001年2001年2001年2001年2001年2003年2003年2004年2005年2006年2009年2010年47事 業 カスタムコンプレッサ コンプレッサインバータカスタムカスタムマルチパッケージ業務用給湯冷凍機器冷凍機器欧州コンプレッサチラーインド冷凍機器2012年2019年冷媒R744R404AR404AR744R32R32製 品 パワーエコA2DCツインロータリーコンプレッサA3DCツインロータリーコンプレッサベクトル制御インバータ(正弦波)スーパーパワーエコ(海外SDI)スマートエコ(海外DI)スーパーモジュールマルチシングルエースほっとパワーエコBIGインバータ搭載オープンショーケースインバータ搭載冷凍機家庭用ヒートポンプ温水システムA4DCツインロータリーコンプレッサユニバーサルスマートXステーブルパワーインバータ大形冷凍機 PROCOOL要に対応し、結果的にグローバルでの省エネ機器の普及を支えてゆく事ができるだろう。 なお、スマートエコは2003年からDI(デジタルインバータ)シリーズとして海外展開している。注1:スマートエコの省エネ性は期間消費電力量(日本冷凍空調工業規格JR  A4055で算出)で10年前の当社一定速機に対して約30%低減。コンパク  ト性は、前年度モデルに対して容積比で41%~46%低減注2:4,5,6馬力のスーパーパワーエコ、スマートエコで既設配管を利用する場  合は、既設配管対応設定SWで切替■インバータ&グリーン戦略の拡大年 事業エコキュート2009年屋外設置型インバータ冷凍機2009年オープンショーケース2011年3方向オープンショーケース2014年ウルトラパワーエコ2015年空冷ヒートポンプチラー2020年選択はオゾン層破壊防止とともに省エネによる地球温暖化抑制に貢献するものであった。 その後、2016年のモントリオール議定書により、地球温暖化係数(GWP)総量の段階的削減(「キガリ改正」)が決まり、低GWP冷媒への切り替え対応を進めている。もちろん、それが機器の効率化を是とするインバータ&グリーン戦略の本質を左右することはなく、冷媒軸は時代の要求とともに応変させつつ、基本となる「冷媒(ヒートポンプ)」×「インバータ」×「ロータリーコンプレッサ」の枠組みはそのままに今後もグローバルに推進してゆくのみである。6- インバータ&グリーン戦略が結果的に業務用エアコン市場の主流になり得たのは、単に技術的に優れていたからというだけではない。その戦略が、省エネ且つ軽量コンパクト化を可能にする技術で、顧客の利便性、経済性に応え、時代のニーズに合わせていこうとしていたからと捉えるのが本質であろう。我々の目指す技術開発は、まず初めに顧客の価値に繋がり、その先に社会課題の解決に貢献するというステップを踏むべきことを忘れてはいけない。インバータ&グリーン戦略の今後さいごに

元のページ  ../index.html#48

このブックを見る