東芝キヤリア技術史
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6- 2014年(平成26年)、さらなる連携強化として(株)東芝と米国ユナイテッドテクノロジーズ社との間で「包括的事業協力に関する覚書」が締結される。これは海外事業のより一層の拡大を図り、2020年(令和2年)度の売り上げを2013年(平成25年)度の2倍にすることを目的に、欧州、北米、インドにセールスエンジニアリングセンターを設立することを骨子としたものであった。この覚書に基づき、欧州、北米では業務用空調営業技術支援とともに、各市場向け機器の開発も行う現地法人を設立、インドでは製造会社として法人を設立し、業務用空調を中心に世界各地域での拡販を行う体制の構築を目指した。 また、これと前後する2013年(平成25年)頃から現地の商品ラインアップの拡充・価格競争力強化を目的に、キヤリア社製の室内ユニットを東芝キヤリア製の室外機に接続するというプロジェクトがいくつか起き、実現されていった。7-技術開発体制の強化 (2000年~現在) 当社を取り巻く事業環境は刻一刻と変化しているため、技術開発体制の強化が必要とされる。自社での研究開発のほか、(株)東芝や大学への委託研究、電力会社との共同研究開発、世界のキヤリア社拠点との技術提携(主としてキヤリア社製品の開発)、他社との間で共同研究開発会社を設立しての開発なども行ってきたが、開発設備についても、大容量機器を開発する試験室への投資を続けてきた。53■ 掛川事業所  80冷凍トン  環境試験室■ 東芝キヤリア 空調欧州社(ポーランド)■ 東芝キヤリア英国社(イギリス)■ 東芝キヤリア 欧州社(フランス)■ 東芝キヤリア インド社■ 東芝キヤリア タイ社■ TCFGコンプレッサ(タイ)社■ 東芝キヤリア 中国社■ 富士事業所  業務用空調  評価試験室■ 津山事業所(日本 津山市)■ 富士事業所(日本 富士市)■ 掛川開発センター(日本 菊川市)■ 東芝キヤリア 北米社(アメリカ)■ 東芝キヤリアグローバル拠点 一方で、事業の拡大、海外製造拠点の拡大に伴い、各市場のニーズに沿ったローカルフィット製品の開発も求められるため、タイのTCTC、中国のTCACでの製品開発体制を整備することとし、研究開発設備投資、ローカルエンジニアの増強を図ってきた。また、タイ、中国、そして富士事業所内にそれぞれ「技術棟」を建設し、富士事業所と掛川事業所での先行技術開発、重要製品のプラットフォーム開発、国内製造商品の開発をする一方、海外拠点でローカルフィット開発を進めるというグローバル開発体制が築かれつつある。8- JVのスタートからその後の発展を振り返ることは、より良くなるために自らを変えていくことがいかに大切であるかを私たちに教えてくれる。そして、ドラスティックな変革を成す大きな局面では、キヤリア社とのJVスキームの存在がいかに大きかったかを改めて感じるのである。 今後の20年では、冒頭で「激動」と称したこれまでの20年がまるで「助走」だったかと思えるくらいの状況に直面するかもしれない。それでも我々は存在する限り、再び自らを変革し続けるだろう。 技術者として、これからも変わり続けるために変えてはならないことがある。それは、常に新たな技術への興味と想像力、そしてそれを獲得するための貪欲なまでのチャレンジ精神を持つことである。それを忘れずこれからも進化し続けてゆくことを期待して止まない。20VISION2020 (2014年~現在)さいごに

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