東芝キヤリア技術史
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次世代技術探索応用技術開発環境・技術動向大きな変革期2012CAONSシリーズ商品化(2012/4~)・CAONS 45,140,140L,700・熱回収CAONSパワーデバイス向け新規技術の製品適用・リアクタレスINV. ・次世代SPS回路・セミオートチューニング●持続可能都市の仕組み作り● COVID-19  ニューノーマル(2020)● キガリ改正発効(2019)● Society5.0(2019)● FH2R完成(2020)● 5G(2020)  ダイヤモンドデバイス(2018)●循環型経済の実現●脱炭素社会への移行● 世界人口100億人● 水、食料不足● カーボンニュートラル● デジタル経済圏● 量子コンピュータ● サイバネティック・アバター● IPCC地球温暖化  報告(2007)● 京都議定書  約束期間開始(2008)● iPhone(2008)● 世界人口70億人  突破(2011)● Tesla ロードスター  量産(2010)● Bluetooth  v4.0(LE)  (2009)● LTE/4G  (2010)● SDGs採択(2015)● Industry4.0  報告(2013)● 独FIT廃止(2017)● トヨタMIRAI  量産(2014)● 電力小売● 地デジ化(2011)● SiC第一  世代(2012)● SiC第二世代● Amazon  Echo(2014)  完全自由化(2016)● GaNスイッチング  デバイス(2016)● Ga2O3● PlayStation VR(2016)● Apple Watch(2015)● AlphaGo(2016)  (2014)● Google  Glass(2013)● Google ロボットタクシー(2017)年58に向け、どのようなストーリーで報告するか検討していった。 まずは、「TCCの目指す環境創造の定義」。そして、10年先の空調、5年後のシナリオは過去のステアリング会議で報告しているので、それらに基づいたTCCの顧客価値からみたバリューベクトル、取り組むべき技術提案(42件の仮想商品創出の背景・根拠)の詳細説明、そして最終提案の6件とその詳細説明。最後にTCCの技術体系(環境創造を目指すTCC技術体系)を提案する事にした。 当時の取締役からの提案もあり、1年の活動の軌跡である各種調査結果・アイデア発掘会結果・作成した企画書などを会議室に展示する内覧会を同時に行う報告会を企画した。準備に2週間をかけ、当日の報告会に臨み、メンバー全員で分担して発表を行った。 手探りから始まったそれは、社外交流50か所以上、文献調査150件以上、学会・セミナー・シンポジウム・展示会参加200件以上にも及ぶ活動となった。また今後のために調査資料は出典を明確にし、どんな情報はどこを調べれば得られるのかのリストをまとめた。内覧会・最終報告会を終え、社長からは満点ではないが、合格点を上げてもよいとのコメントをもらい、ついにプロジェクトは終了したのである。8- さて5年後をターゲットとした新技術体系の描出、新コンセプト商品の創出、研究開発企画提案が、直接の成果領域であり、そのうちのいくつかは実際に商品化・商品へ実装を果たした。 しかしながら、それよりも大きなものはTCCが目指す『環境創造企業』を定義し、それに『必要な基幹技術と技術体系』を提案し、環境創造企業としてのTCCの経営ビジョンにも反映したこと、■ 2030年に向けてNATセンター解散から10年経過次世代技術探索に向けて新組織を発足2020200820502030FY 2007[CTC]内に次世代技術NATセンター活動コアテクノロジーセンター研究開発担当(ARD)設置(2020/4~)[CTC]発足(2008/4~)(2007~1年間)環境政策エネルギ通信パワエレデバイスAI・IoTそして社外交流・連携を継続し、拡大させたことではないかと思うのである。 2007年当時は、TCCが発足してもうすぐ10年になろうとする時期で、事業の方向性をどう転換すべきか検討する時期でもあった。そのようなときに調査・企画・提案する専任組織が活動したこと、及びそれに携われたこと、また手探りの状態から試行錯誤を経てまとめることができたのは大きな意義があった。提案したものは1週間もあればまとめることができたのかもしれない。しかし、それは本当にやる価値があるものなのか、環境分析を行い、大学・研究所・他社との情報交換を行い、様々な資料を調べて、ロジカルにまとめる作業を通じて、単なる思い付きから、この道を進めば間違いがないという確信のあるものに変わっていった。この作業、手法そのものが大きな財産なのかもしれない。奇しくもNAT活動も終盤の2008年9月にリーマンショックが起こったが、そのような状況下でも、『環境創造企業』としてやるべきことを提案できたのも、それが単なる思い付きや一時の考えで作ったものではなく、分析の裏付けがあったからに他ならない。 その時目指したものは来年でもなく、10年後でもなく、5年後の未来に向けて何をすべきかの提案であった。その時間軸においては全くの新しい技術・アイデアは存在せず、必ず今の中に兆しやヒントが転がっている。大切なことは10年後の姿を考え、何を実現したいのかを明確にし、共有すること。既存の技術の組み合わせや改良でできないかをいつも考えること。そして、それを共通の言葉で議論することである。 さて我々は現在、すでにNATセンターが検討した10年後の未来のその先にいる。次の10年後を確固とするために再び同じ目的の活動を、また違うやり方でするべき時であろう。NATセンターの成果

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