東芝キヤリア技術史
66/68

65左からファシリテータ長澤さん、登壇者の温品さん、簑さん、OB 尾駒さん、         OB 新間さん、OB 杉浦さん、OB 井出さん■世界初スプリット型インバータエアコンの歴史的業績 それまでのエアコンは、商用電源周波数(50Hzまたは60Hz)の一定速度でコンプレッサーを運転しており、目標設定温度を基準にコンプレッサーのオン/オフを繰り返すため、部屋の温度むらが大きくなり、消費電力も大きいことが課題でした。そこで当社は、パワーエレクトロニクス技術およびマイクロコンピュータ制御によりインバータの大幅な小型化・軽量化を実現しながら、コンプレッサーを可変速度にて運転させ冷暖房能力を細やかに調整できるインバータエアコンを開発しました。これにより、高い快適性とエネルギー効率の大幅な向上を実現することができ、インバータエアコンは国内のみでなく世界中に幅広く普及していきました。Toshiba developed and mass-produced the world’s first split-type air conditioners with inverter-driven compressors for commercial and residential applications in 1980 and 1981, respectively. Compact and robust inverters using power electronics technologies allowed variable-speed control of the compressors for optimized air-conditioning operations, with significantly improved comfort and energy efficiency. These innovations led to widespread use of inverter air conditioners across the world.(和訳)東芝は、世界で初めてスプリット型インバータエアコンを開発・量産(業務用1980年,家庭用1981年)した。パワエレ技術を駆使したコンパクトで、且つ強力なインバータユニットにより、コンプレッサーの可変速制御が可能となり、空調を最適化して快適性およびエネルギー効率の大幅な向上を実現。これらの革新により、インバータエアコンは世界中に普及した。IEEE 前年度会長福田 敏男 様TCC社長久保 徹■IEEEマイルストーンに認定された技術■贈呈記念式典(主催:IEEE名古屋支部) 2020年9月、当社(注1)が世界で初めて(注2)開発、量産を行った業務用および家庭用インバータエアコン(スプリットタイプ)が、世界最大の電気・電子関係の学会であるIEEEから「IEEEマイルストーン」に認定されました。それを受けて、2021年3月16日にIEEE名古屋支部主催による贈呈記念式典が、富士事業所にて開催されました。 「IEEEマイルストーン」は2020年3月時点で約209件が認定・贈呈式を終えていますが、当社製品がその仲間入りを果たしたことになり、空調業界では初の認定となりました。また、同日、往年の技術者を招いて開催されたパネルディスカッションはリモート配信され、会場と合わせて100名弱が聴講し(注3)、活況を呈しました。(注1)当時の東京芝浦電気株式会社(東芝)。その後、東芝空調部門は、1999年東芝キヤリア株式会社設立に伴い、   同社に事業移管され現在に至る。(注2)2020年11月時点。当社調べ。(注3)当日はコロナ禍で贈呈式会場への入室規制が敷かれ、パネルディスカッション様子はリモート配信された。コラムインバータエアコン 1980-1981IEEEマイルストーン認定Inverter Air Conditioners, 1980-1981

元のページ  ../index.html#66

このブックを見る