東芝キヤリア技術史
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e-THIRD 竣工に寄せて7 2020年(令和2年)5月に運用を開始したe-THIRDは、当社が世界に展開する技術開発の中枢と位置付け、今後も成長を続けるグローバル空調事業をはじめ、ヒートポンプ技術を応用した製品、システム、ソリューションの研究・開発の強化を目的にしています。日本の空調黎明期からその発展を支え、先駆者としての飽くなき探求心と情熱をDNAとして、次代の後輩に脈々と伝承してきた諸先輩がたに心から敬意を表しますとともに、現役世代の日々の奮闘に感謝します。そして、更なる成長に向けた新棟への投資は、まさにそうしたみなさんの貢献が土台となっており、その喜びをともに分かち合いたいと思います。 東芝キヤリアグループはその母体である株式会社東芝および東洋キヤリア工業株式会社時代から、石油ショック、バブル崩壊、デフレ経済、そして会社設立後のリーマンショック、大規模自然災害など幾多の危機に対し、自らの変革をもって乗り切ってきました。その間、数々の省エネ大賞受賞に加え、建築設備技術遺産に登録された「17M形国産ターボ 冷凍機原型」、電気技術顕彰(でんきの礎)およびIEEEマイルストーンに認定された「世界初インバータエアコン」、重要科学技術史資料( 未来技術遺産)に登録された「国産初 ロータリーコンプレッサB型シリーズ」を代表とする、さまざまな世界初、日本初のイノベーションを起こして社会に貢献する製品を次々に世に送り出し業界をリードしてきました。これも私たちが常に社会が期待するその一歩先を目指した結果と言えます。 私たちが目指す経営ビジョンは、ヒートポンプ技術を軸に、お客様のさまざまなご要望に的確にお応えできる熱応用ソリューションによる最高品質の製品・サービスを提供することにより、社会ならびに地球環境に貢献し、グローバルに成長する環境創造企業を目指すことです。現代の社会が描く目標である「脱炭素化」や「SDGs」に対し、世界中でGWP (地球温暖化係数)総量削減やESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)の促進など具体的な政策が動き出しています。そのような中、私たちが貢献できることは非常に多く、言い換えるならばそれらが私たちの成長エンジンになります。そこでは、製品の効率向上や熱源転換に加え製品ライフサイクルを通して、あるいはシステムとしての省エネ運用といったCPS、IoT等ソフト面からのアプローチも必要で、より広い視野での提案になります。 e-THIRDには、それらを実証できる仕掛けや、あらゆる場所にコミュニケーションスペースを設けました。技術者のみなさんには是非、好奇心や遊び心から思いついた気づきやアイデアを仲間と共有しながら、やりたい事をあれやこれやと思い描き試してもらえればと思います。そしてリーダーのみなさんには技術のポテンシャルをしっかりと目利きし、今後も世界初、オンリーワンの技術とソリューションで、社会に貢献する強い意志と使命感をもって邁進してください。私自身も次の10年、そして更にその先の成長に向けた施策を確実に実行します。 最後になりますが、e-THIRDが立地する富士事業所がこれまで継続できたのは、官公庁、地域、取引先の皆様からのご支援とご協力の賜物です。この場をお借りして御礼を申し上げますとともに、今後ともご指導、ご鞭撻を賜りますよう心よりお願い申し上げます。巻頭言 グローバルに成長する環境創造企業をめざして取締役 執行役社長 久保 徹

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