東芝キヤリア株式会社

ニュースリリース

優れた省エネインバータ技術で電気学術振興賞(進歩賞)受賞
「空調用低損失昇圧チョッパ回路の開発と実用化」

2019年07月08日

東芝キヤリア株式会社

 東芝キヤリア株式会社(取締役社長:久保 徹、所在地:神奈川県川崎市)は、「空調用低損失昇圧チョッパ回路の開発と実用化」の技術において、一般社団法人電気学会から、第75回電気学術振興賞(進歩賞)を受賞しました。贈呈式は2019年5月30日、都市センターホテル(東京都千代田区)にて執り行われました。

 本賞は、電気に関する学術・技術に於いて、新規な概念・理論・材料・デバイス・システム・方式等を新たに提案あるいはこれらの提案を実証した者、および電気に関する製品・設備等を新たに完成または改良し、顕著な成果をあげた者に与えられる賞です。

 本受賞では、インバータ装置の昇圧回路に低損失パワーデバイスであるSuper Junction MOSFET(以下、SJ-MOSFET)を使って当社独自の回路を設計し、SJ-MOSFETの低損失性能を最大限に引き出す昇圧回路を実現したことが評価されました。この「空調用低損失昇圧チョッパ回路」の技術は、大容量空調機の省エネ性向上と小型化に貢献できるインバータ技術として、当社の店舗・オフィス用エアコン、ビル・工場用空調システムに搭載されています。

     受賞対象及び受賞者

受賞者
写真

受賞した技術の概要

 近年の猛暑の影響もあり、学校や店舗の他、幅広く業務用空調機の設置が進んでいます。このような大容量空調機においては、圧縮機の駆動電力増大によるパワーデバイスの発熱、受動部品や配線径の増大に伴うインバータ装置の大型化などの課題が挙げられます。当社では、これらの課題に対応するため、低損失パワーデバイスであるSJ-MOSFETを昇圧回路に適用した新しいインバータ装置を開発しました。

1.高巻数モータの適用と低損失昇圧チョッパ回路※1の開発
 空調機の省エネ性を高めるため、一般的に圧縮機モータの巻線数を増やすことでインバータ回路に流れる電流を低減し、軽負荷運転時の効率向上を図ります。しかし、巻線数を増やすと、圧縮機モータが高回転となる高負荷運転時は誘起電圧※2が高くなるため、モータの運転に制約が生じないよう、直流電圧を昇圧します。ここで課題となる昇圧回路の損失と発熱に対応するため、SJ-MOSFETを適用した低損失昇圧チョッパ回路を開発しました。

図1

2.昇圧回路損失の低減
 開発した回路には、SJ-MOSFETの低損失性能を最大限に引き出すための工夫が施されており、昇圧回路の損失に大きな影響を及ぼす下アーム素子SWLのスイッチング損失※3を最小限に抑制しました。一般的な昇圧チョッパ回路を適用した場合と比較すると、スイッチング時のサージ電流※4が大幅に低減し、電力損失・発熱を抑えることができます。
図2

図3

  • ※1昇圧チョッパ回路
    パワーデバイスのON/OFF(スイッチング)を繰り返すことで、入力電圧より高い電圧を作り出す電源回路。
  • ※2誘起電圧
    永久磁石モータが回転する際の磁束変化で生じる電圧を誘起電圧といいます。モータ回転数が上昇すると誘起電圧も上昇します。誘起電圧がインバータ回路電圧(モータを回すための電圧)より高くなると、モータの運転範囲に制約が発生します。
  • ※3スイッチング損失
    パワーデバイスがON/OFF(スイッチング)するときに発生する損失。
  • ※4サージ電流
    パワーデバイスがON/OFF(スイッチング)するときに瞬間的に発生する大電流。

東芝グループの環境ビジョン2050について

 東芝グループは「地球と調和した人類の豊かな生活」を2050年のあるべき姿として描き、これに向けた企業のビジョンとして環境ビジョン2050を設定しています。「つくる、つかう、いかす・かえす」という製品のライフサイクルを通じて、社会の安心・安全と、まだ見ぬ感動や驚きを与える豊かな価値を創造すると同時に、環境影響低減のために「地球温暖化の防止」「資源の有効活用」「化学物質の管理」の3つの課題に取り組むことで、地球との共生を図っていきます。

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